Withコロナ時代の外食産業を模索する日本人シェフたちの提言
最近、コロナ禍における外食産業についてのグローバルミーティングが開催され、さまざまな分野で活躍する日本人シェフや専門家が一堂に会しました。
このイベントでは、外食産業が直面する現状や、これからの新しい価値観が議論されました。多くのパネリストが「感謝」という言葉を重要視し、コロナによる影響が相対的に彼らに与えた学びや気づきに焦点を当てました。
各国の現状とコロナの影響
イベントには、スペイン、アメリカ、シンガポール、中国など各国で活躍するシェフたちが参加し、それぞれの国の状況を発表しました。
山田チカラ氏は、アメリカにおける経営者への支援がほとんどない現実を語り、コロナ後の危機感の必要性に触れました。幸いなことに、彼のレストランは多くの顧客に支持されており、従業員の支援はあるものの、彼自身には何も支援がないとのこと。
一方、
岡添将人氏はスペインでの成功事例を挙げ、特に個室を備えた店舗の利点を示しました。スペインでは個室が珍しいため、彼の店舗は多くの顧客が訪れ、ほぼ満席が続いているそうです。逆に、スペイン人はコロナに対して危機感が薄く、生活様式が大きく変わっていないとも指摘しました。
重光悦枝氏は、中国での感染封じ込めの成功について、政府の厳格な行動管理が影響したと語りました。中国では、コロナの影響を受ける以前からすでに行動管理が徹底されていましたが、この経験がさらに強化されたと説明しました。
香港やシンガポールでは、前回のSARSの経験が影響し、国民の間に「感染しない、させない」という強い意識が根付いていると語られました。特にシンガポールでのQRコードを用いた個人の行動記録の重要性が強調され、感染経路が追跡可能な仕組みまで整備されているとのこと。
新たな価値の創造
外食産業のリーダーたちによる議論は、サービスや経営の哲学にまで及びました。
山田チカラ氏は、「ご近所さんを大切にする」ことを提言し、外食とは何か、食べる価値とは何かを見つめ直す重要性を説きました。コロナにより食に対する意識が変わった今、本来の楽しみ方や価値の再確認が求められると彼は強調しました。
また、
重光悦枝氏は、飲食店が顧客と共存する必要性を説き、安心して食事ができる空間を提供することが重要としました。コロナを機に、飲食業界はデジタル化をすすめ、地域社会と結びついたサービスを提供するメリットも指摘されています。
森本麻紀氏は、高齢者へのサービスの重要性に触れ、フードトラックを利用しての配達サービスを始めることにしました。このように、地域のニーズに応じたサービスの進化も求められています。
教育と食の新しい視点
石川善樹氏は、外食と内食のバランスについて発表し、コロナ禍で料理を自ら行う人が増えた影響を受け、料理スキルの向上が外食の価値を再認識させる要因になったと述べました。また、
楊さちこ氏は香港を例に、食がどう身体状況に基づく選択であるべきかを説明し、日本にもこの思想が広がるべきだと語りました。
リー・ホイリョン氏は、飲食業界の常識を超えた視点が必要と提言し、食を通じて何を学ぶかの重要性を強調しました。
結論
多くのパネリストが寄せた意見を通じて、コロナ禍が飲食業に与えた影響と責任を考える良い機会となりました。外食が持つ新たな価値を見出すこと、地域との結びつきを深めることは、withコロナ、afterコロナの時代において競争力を持つための鍵になるでしょう。皆がどのように飲食業を革新し、未来を築いていくのか、今後も注目していきたいと思います。
イベントの詳細については、公式ホームページからチェック可能です。
公式ホームページ