OptQCとNTTによる光量子コンピュータ開発の協力
概要
OptQC株式会社とNTT株式会社は、スケーラブルで信頼性の高い光量子コンピュータの実現に向けた連携協定を締結しました。この協定は、量子コンピュータの実用化に不可欠な「スケーラビリティ」と「信頼性」を確保するために、光通信技術を駆使し大規模な社会課題の解決に貢献することを目指しています。特に注目されるのは、両者がそれぞれの技術を融合させることで達成する新たな革新です。
背景
近年、複雑な計算問題の解決において量子コンピュータの利用が期待されています。具体的には、新薬開発や新材料設計、さらには金融の最適化や気候変動の予測など、多岐にわたる分野での応用が見込まれています。しかしながら、現状の多くの量子コンピュータは非常に繊細で、環境ノイズに対して脆弱です。これは、量子状態が揺らぎやすく、計算結果に影響を及ぼす可能性があることを意味します。そこで、100万量子ビットの生成と、誤り訂正技術を用いた安定した制御が求められています。
光量子コンピュータの可能性
光量子コンピュータは、光の特性を最大限に生かした新しいアプローチであり、消費電力が低く、環境条件に依存しないため、実用化に向けた高い期待が寄せられています。東京大学の25年にわたる光量子コンピュータの基礎研究を基に、OptQCは設立され、実用的な技術の開発をリードしています。具体的には、光増幅器を用いた量子測定や誤り訂正技術の実現に取り組んでいます。
一方、NTTも光の技術を基盤にしたIOWN構想のもと、量子光源としての光増幅技術や光多重化技術の開発を進めており、学術的な研究から法人としての実行に至るまで幅広いアプローチを取っています。具体的な成果として、光増幅技術を利用した高速な量子生成がございます。それにより、量子コンピュータの実用性が飛躍的に向上しています。
連携の具体的な取り組み
OptQCとNTTの今回の協定では、以下の具体的な取り組みを行っていくことが決定されました。
1. 光量子コンピュータに活用可能な多重化技術や誤り訂正技術の創出
2. 光量子コンピュータ用のユースケースを創出し、アルゴリズムやソフトウェアの開発
3. 光量子コンピュータのサプライチェーンの確立
4. これらの技術やユースケースの社会実装
2030年までには、これらの目標を達成し、実用的で信頼性の高い光量子コンピュータの実現を目指しています。
今後の展望
OptQCとNTTは、今後5年間の共同検討を正式にスタートさせます。初年度は技術検討に着手し、賛同するパートナーと連携を進める予定です。2年目には開発環境を整備し、3年目には実際のユースケースの検証を行います。この取り組みが成功すれば、2030年には100万量子ビットの光量子コンピュータを実現し、さまざまな社会課題に対する解決策を提供することが期待されています。
結論
OptQCとNTTの協力によって、光量子コンピュータの実用化に向けた新たなステージに進むことは間違いありません。今後の進展に目が離せません。社会へその成果がどのように反映され、実際の生活にどれほどの利便性をもたらすか、引き続き注視が必要です。