北海道石狩市におけるESGへの挑戦
株式会社aiESGと株式会社JOYCLEが共同で進めた分散型廃棄物処理インフラの実証実験は、2025年1月に北海道石狩市で行われました。本実験の目的は、JOYCLEが開発した小型IoTアップサイクルプラント「JOYCLE BOX」を用いて、廃棄物の現地処理と資源化を実現し、従来の焼却炉への運搬よりも環境負荷を軽減することです。
分散型アップサイクルプラント「JOYCLE BOX」とは
「JOYCLE BOX」は廃棄物を直接運ばず、燃やさずに資源化するシステムです。電熱線による熱分解技術を用いて、廃棄物からバイオ炭やセラミック灰を生成します。これにより、環境への負担を大幅に減少させつつ、地域内の資源循環を促進します。
このプラントを利用することで、石狩市では収集車2台の代替として12台の「JOYCLE BOX」を配置した結果、年間で約56トンのCO₂排出量削減と、16,280リットルの燃料消費量の低減が見込まれることがわかりました。また、運搬コストでは約7,200万円の削減が期待されています。さらに、労働時間も169時間の短縮が確認され、従業員の労働環境の改善にも寄与する結果となりました。
実証実験の背景と目的
北海道地方では人口減少と高齢化がもたらす課題が顕著です。そのため、石狩市ではスタートアップ支援や地域イノベーションを通じて、持続可能な廃棄物処理のソリューションを模索してきました。
具体的には、以下のような目的でこの実証実験が行われました:
- - ごみ収集効率を反映した分散型インフラの活用によるコスト削減
- - CO₂排出量の削減を通じた地域の脱炭素化の推進
- - 高齢化社会に対応するための循環型経済の実現
各社の役割
このプロジェクトにおけるaiESGの役割は、データ解析と最適配置シミュレーションの提出でした。具体的には、ごみの収集量や効率を算出し、JOYCLE BOXの配置最適化を担いました。一方、JOYCLEは実際に「JOYCLE BOX」を設置・運用し、その効果を実証しました。また、石狩市は実証実験の場を提供し、地域内の企業との連携を支援します。
期待される成果
実証実験の結果、自社で導入を進めることが具体的なメリットとして示され、5~6年で初期投資の回収が可能であることも明らかになりました。このデータは、大型焼却炉とのハイブリッド活用がいかに効果的かを証明するものとなりました。
コメント
石狩市企画政策部の担当者は、地方部での持続可能な街づくりに貢献できるこの取り組みに期待を寄せています。JOYCLEの小柳裕太郎代表は、故郷である北海道でこの課題解決に寄与できることに誇りを感じており、今後も地域と連携しながら活動を続けていく意向を示しました。aiESGの馬奈木俊介代表も、今回の実証実験が環境や社会貢献に向けた重要な一歩であると強調しています。
この取り組みは、分散型インフラの導入がどれだけ地域社会に利益をもたらすかを示す重要な事例です。今後、他地域でも同様の実証実験が行われることを期待し、持続可能な未来を共に実現していくための道筋となることが望まれます。