退職金を受け取る際に、多くの人が迷うのがその受け取り方です。一般的には「一括受取」と「年金受取」の2つの方法があり、それぞれに異なる税制が適用されます。この選択による影響は大きく、手取り額に最大で約480万円もの差が生まれることがあるのです。
株式会社Mycatが運営する「退職金シミュレーター」を用いた試算によれば、具体的には退職金2,000万円、勤続年数30年のモデルケースで、受取方法や受取時期の組み合わせによって税金差が生じることが確認されています。
退職金受取の方法
退職金の受け取りには大きく分けて2つの方法が存在します。まずは「一括受取」。この方法は、退職所得扱いとなり、比較的低い税率で税金が計算されます。次に「年金受取」がありますが、こちらは雑所得に分類されるため、高い実効税率が適用される可能性があります。
最大の税金差の要因とは
この大きな税金差の原因は主に次の3つです。
1.
退職所得控除: 勤続年数が20年を超えると、年75万円が控除額に加算されます。これにより、一括受取時の課税が有利に働きます。
2.
年金受取の場合の公的年金等控除: 年金受取は厚生年金と合算され、実効税率が上昇するため、税負担が増える危険があります。
3.
iDeCoとの受取順序の工夫: 退職金とiDeCoを巧妙に組み合わせた受取方法により、退職所得控除を2回受けることができる場合があります。
特に2025年以降、iDeCo制度の改正により退職金やiDeCo、企業型DCの受取順序がさらに複雑化し、税法や制度の理解が必要になります。
知られざる現実
厚労省の調査によれば、退職金制度のある企業は約75%ですが、実際に受取方法についての詳細な説明を行っている企業は多くありません。日本FP協会のデータでは、退職予定者の約74%が退職金の税制優遇について十分に理解していないとの結果も出ています。このような状況から、多くの人が不必要に高い税金を支払ってしまっているのです。
シミュレーターの活用法
退職金シミュレーターの活用は、退職金の受取方法を選ぶ上でも非常に役立ちます。シミュレーターに退職金額、勤続年数、iDeCo残高、希望受取時期を入力するだけで、一括受取、年金受取、分割受取の各シナリオにおける税額や手取り額をAIが自動的に算出します。ただし、この試算は国税庁の公開税額表に基づくものであり、個別の税務判断には他の専門家の助言を求めることが推奨されます。
退職金の受け取り方によって、手元に残る金額が大きく変わることは少なくありません。自分にとって最も有利な選択をするためにも、税制の仕組みを理解し、活用できるツールを利用していきましょう。