地域の自然を守る取り組みは、持続可能な社会への一歩です。長崎県五島市では、新たなカーボンクレジット事業『五島つながるカーボンクレジット(つなクレ)』が始まります。このプロジェクトは、一般社団法人みつめる旅が主導し、アイフォレスト、株式会社杣林、ヤマハ発動機といった民間企業と連携して行われます。プロジェクトの目的は、五島市および久賀島の未施業林(約815ha)を活用し、CO₂吸収量と生物多様性を測定・評価したボランタリーカーボンクレジットを創出することです。
プロジェクトの背景
日本の多くの森林が高齢化や担い手不足などの問題を抱える中、五島市においても同様の課題が顕在化しています。特に、世界遺産に登録された久賀島の自然環境を保護し、次世代へとつなげるためには、森林の再生と経済的な仕組み作りが急務です。また、気候変動に対する取り組みや生物多様性保全の重要性が増す中、「ボランタリークレジット」は持続可能な経済の選択肢として注目されています。
事業の概要
『つなクレ』は、四つのステップで進行します。まず第一に、産業用無人ヘリを活用した測量や衛星データ、生物多様性評価が行われ、森林の現状を正確に把握します。次に、地域の森林管理企業が中心となり、段階的かつ環境への影響を最小限に抑えた森林の整備と人材育成を進めます。
これにより育成された人材は、地域の森林管理を行いながら、外部からの関心を呼び寄せる役割も担います。
さらに、収穫量をもとにカーボンクレジットを発行し、企業に販売することで得た資金を地域へ還元する仕組みを構築します。最後に、都市部の企業や地域住民と連携を深めながら、森林施業の価値を共有し、地域の森林課題解決に向けて関心を高める活動を展開します。
参加者の声
この取り組みを通じて、個々の企業がそれぞれの役割を果たすことで、地域の持続可能性が高まることが期待されています。例えば、アイフォレストは、ボランタリークレジットの創出や販売を担い、地域経済のクリーンエネルギー市場への参入を促進します。ヤマハ発動機は、先進的な技術を駆使して森林の状況を可視化し、分析データを元にした地域課題解決に寄与します。
また、杣林は、地域に根ざした森林経営を通じ、地元住民の雇用を創出し、著名な環境事業者になります。これにより、地域の資源を最大限に活用し、持続可能な社会の実現が期待されています。
次のステップ
なお、プロジェクトの発表を記念して、12月15日に東京都内でミートアップイベントを開催します。このイベントでは、プロジェクトの詳細が紹介されるだけでなく、参加者同士の交流も予定されており、関心のある方にはぜひ参加していただきたい機会です。
地域の森林が持つ潜在力を引き出し、経済に貢献する『五島つながるカーボンクレジット』は、五島市の未来を切り開く重要な一歩となることが期待されています。自然を大切にしつつ、経済性も忘れない新たな取り組みとして、今後の展開が楽しみです。