東京23区の賃貸物件市場動向
不動産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)に力を入れる株式会社いえらぶGROUPが、2023年と2024年の東京23区における賃貸物件の市場動向を分析しました。対象として使用されたのは、不動産業者間流通プラットフォーム「いえらぶBB」のデータです。ここでは、シングルタイプ物件、カップル・ファミリータイプ物件のそれぞれの築年数について詳しく見ていきます。
シングルタイプ物件の状況
東京23区において、シングルタイプ物件の中で最も多いのは、築6~10年の平成築物件で、その割合は18.7%に達しています。この物件群は、特に最新の耐震基準や省エネ設計が施されており、入居者からの人気が高まっています。また、築16~20年の物件も17.4%を占め、リーマンショックの影響で築11~15年の物件が少なかったことが、市場動向に影響を及ぼしています。
近年の経済回復や都市部での再開発により、築6~10年の物件の供給が増えており、新築の供給が減少している中で、これらの物件がますます注目されています。管理状態の良さや設備の新しさも、賃料の高さを支える要因となっています。
渋谷区の物件動向
また、シングルタイプ物件に関する地域差も顕著です。特に渋谷区では、昭和築物件が14.4%を占めており、築36年以上の物件群の中でも最も多いという結果です。これは1964年の東京オリンピックに起因するもので、当時の大規模な開発により、多くの昭和築のマンションが現在も現存しています。その一方、新宿区では令和築物件が22.8%と圧倒的な割合を占め、新しい生活スタイルに適した物件が増加しています。
カップル・ファミリータイプ物件のトレンド
カップルやファミリー向けの賃貸物件について見ると、令和築物件の人気が急上昇しています。特に築1年以内の新築物件は、カップル向けで27.9%、ファミリー向けで31.2%を占めており、全体の25%以上が1年以内の物件です。台東区、港区、世田谷区が新築物件が多く、子育て世帯への配慮がなされた設備や、広いリビングスペースが特長として挙げられます。
最近の賃料の動向を見ると、台東区では昨年比で93.4%と減少傾向ですが、港区と世田谷区ではそれぞれ123.5%と115.5%と、大幅に上昇しています。それでも、多くの入居者は高額な令和築物件を選んでいることがわかります。これは、充実した共用設備や快適さが、入居者に高い支持を得ている証拠です。
最後に
いえらぶGROUPの調査によると、2023年度の賃貸物件の動向は、築年数によって異なる傾向が明確に見られる結果となりました。令和築物件や築6~10年の物件が多くの支持を集めていることは、今後も続く可能性があります。この調査は2023年12月から翌年の12月までの期間にわたって行われ、合計57.3万件のデータが分析されました。今後の賃貸市場の行方には目が離せません。