富士通と東海国立大学機構、JAXAとともに月探査の安全性向上を追求

富士通と東海国立大学機構がJAXAと共同研究を開始

富士通株式会社と国立大学法人東海国立大学機構は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構（JAXA）との協力により、新たな月探査の技術開発に乗り出します。この共同研究は、2025年2月1日から2026年3月31日までの予定で進められ、具体的には「説明可能なAI技術を活用した月・火星探査に向けた太陽放射線事前予測技術の開発」に焦点を当てています。

共同研究の背景と目的

富士通は、2023年2月24日に東海国立大学機構と包括協定を締結し、名古屋大学宇宙地球環境研究所（ISEE）と連携して、宇宙天気の予測技術を向上させる性能向上に注力しています。今回の研究は、JAXAが創設した宇宙探査イノベーションハブの推進する「Moon to Mars Innovation」プログラムに採択され、期待が高まっています。

本研究では、富士通が誇る説明可能なAI「Fujitsu Kozuchi XAI」や、ISEEが所有するシミュレーションデータ、JAXAの月面データを駆使して、太陽高エネルギー粒子事象の予測を行います。これは、太陽フレアなどの影響で突発的に発生し、宇宙空間を移動する宇宙放射線の一部で、月面や地球周辺の空間では避けられないリスクを伴います。

太陽高エネルギー粒子の危険性

太陽高エネルギー粒子は、宇宙探査ミッションにおいて大きな脅威とされています。特に、月面などのアウトリーチで直接被曝すると、致命的な線量に達する可能性があります。したがって、この粒子の発生とその量を予測することが求められており、当研究はアルテミス計画に関連した重要な研究として位置付けられています。

研究の意義と展望

本研究は、月面での観測や予測研究を加速させることを目的としており、JAXAが開発する宇宙放射線線量計のデータ解析にフィードバックを行うことで、実用性を高めます。さらに、両者は宇宙活動における安全確保のために、太陽高エネルギー粒子事象に関する予測技術の確立を目指します。

将来的には、JAXAやその他の関連機関と協力しながら、この研究が健康管理や宇宙輸送・要員計画の立案、緊急放射線速報などの社会実装に繋がることを期待しています。この技術開発が、宇宙空間での安全な活動の実現にどのように貢献するかが注目されます。