メンタルヘルスの現状
2023年11月10日、公財)日本生産性本部が行った第12回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査が発表され、特に若年層のメンタルヘルス問題が浮き彫りになりました。調査の結果、10代から20代の間で「心の病」が最も多く見られ、企業の回答からはこの問題への懸念が強く表れていることがわかりました。以下に調査の主要なポイントを紹介します。
1. 若年層における「心の病」の増加
調査によれば、10代から20代が最も「心の病」を抱えているとする企業の割合は、2014年の調査から2倍に増加して37.6%に達しました。これは前回の調査(43.9%)より若干減少したものの、依然として高い数値であり、若年層のメンタルヘルスが深刻な状態にあることを示しています。
2. 「心の病」の増減傾向
最近3年間で「心の病」が増加していると回答した企業は39.2%にのぼり、逆に減少したとする企業はわずか4.7%に過ぎません。この結果は、過去数年にわたってのメンタルヘルスの問題が根深いものであることを物語っています。
3. ウェルビーイング経営の推進
近年では、働く環境の改善や社員の心身の健康を重視する「ウェルビーイング経営」が注目されています。この調査内でも「従業員の心身の健康維持・増進」を目的とする企業が約65.9%に達し、またエンゲージメントの向上も60%を超えています。しかし同時に、これらの取り組みに関して「効果が不明確」「評価基準が難しい」という課題も明らかになりました。
4. 組織の理念とメンタルヘルスの関係
企業の理念や経営方針が従業員に浸透していない場合、心の病が増加する傾向が強いことが示されています。理念が浸透していないと答えた企業では、「心の病」が増加傾向にあるとしたのが50%以上に達する一方で、浸透していると答えた企業では34.2%に留まっています。この結果から、企業文化の形成がメンタルヘルスに与える影響が大きいことがうかがえます。
5. ストレスチェック制度の課題
ストレスチェック制度については、導入から10年経っても課題が改善されていないとされています。「集団分析結果の活かし方」が最も多くの企業から指摘されており、2位には「高ストレス者への面接以外のフォロー」が続いています。これらの課題は、組織としてそして個人としての両方の対応が必要であることを示唆しています。
おわりに
3年以上続くメンタルヘルスへの関心の高まりと、若年層の心の病の増加は、企業にとって今後の重要な課題であることが明らかになりました。企業は庁舎として、メンタルヘルスをより真剣に考え、効果的な取り組みを進めることが求められています。