生成AIとリアルの力で不登校支援を進化させる成基の取り組み
教育分野で急速に進化している生成AIを導入した不登校支援の新たな試みが、株式会社成基によって進められています。関西を中心に約150教室の学習塾を運営する成基では、2025年3月23日に東京で開催された「AI時代の教育学会」で、生成AIを利用した不登校支援の研究結果を発表しました。この研究は、不登校の子どもたちが自己理解を深め、心理的およびキャリア面での不安を解消するための取り組みとして行われました。
オンラインフリースクール「シンガク」とは
成基が運営するオンラインフリースクール「シンガク」は、不登校の子どもたちに対して学習面のサポートを提供しています。「シンガク」では、AI先生を通じたコミュニケーションの価値を探るため、村上実優教室長の情報を元にした「AIの村上先生」を活用。子どもたちに一定期間使用してもらい、その後の感想や生成AIに対するイメージの変化を調査しました。
その結果、生成AI(AIの村上先生)が提供する情報は豊富で、時間に制約がないため、学習や情報収集のサポートツールとして非常に役立つことが確認されました。しかし、一方でリアルな村上先生との比較においては、AIにはない面白さや人間らしさが強調されるという意見が多数寄せられました。
AIと人間の役割
この研究からわかったことは、不登校の子どもたちにとって生成AIは便利なツールであるものの、会話の継続性や対話への意欲に限界があることです。AIの存在が気軽な相談の場を提供する一方で、最終的には人との直接的な関わりが重要であるという結果が示されました。
情報を得やすい特性を持つ生成AIでも、クリエイティビティや倫理的判断が求められる場面では、やはり人間の教師との関わりが欠かせません。子どもたちが自己理解を深め、心理面とキャリア面での不安を解消するためには、生成AIの利用とリアルな人のサポートを両立させることが求められます。
未来に向けた取り組み
今後、子どもたちがより生成AIを活用する意欲を高められるように、個別性を重視したパーソナライズの実施や、リアルな教師との協力によるAIの活用法を模索することが計画されています。この進化する教育環境の中で、生成AIを新たな学びの手段として育てていくことが重要です。
「シンガク」の村上実優教室長は、「子どもたちは生成AIのような新しいツールに対する抵抗感を持つことがあるが、体験することでポジティブな意識変容が見られるかもしれない」と期待を寄せています。
教育の現場と生成AI
成基の代表兼CEO、佐々木雄紀氏は、「生成AIの進化に伴い、教育現場での活用法に注意が向けられている。文部科学省もガイドラインを発表し、我々はその課題に向き合っていく必要がある」と述べ、引き続き研究を続ける意向を示しました。
不登校の子どもたちへの理解を深め、彼らがもつ可能性を最大限に引き出す取り組みとして、成基の試みは今後さらに注目されていくことでしょう。