人口減少と生物多様性
2025-06-13 10:50:20

日本の里地里山における人口減少と生物多様性の関係に関する新たな研究成果

人口減少と生物多様性―日本の里地里山から見える課題



日本の生態系が現在直面している大きな課題として、人口減少が生物多様性に与える影響が挙げられます。東京都市大学、英国シェフィールド大学、公益財団法人日本自然保護協会、近畿大学の研究チームは、158の里地里山を対象にした調査を行い、人口が減少することで生物多様性が失われる可能性があることを明らかにしました。この研究は、特に鳥類やチョウといった生物群の減少が顕著であることを示しています。

研究の背景と目的



生物多様性は、私たちの生活基盤を支える重要な要素ですが、1970年以降、世界の野生生物は73%も減少しています。一方で、現在の人口は約80億人に達し、環境劣化の原因となっていることが多くの研究で指摘されています。日本では、1995年以降、人口減少が続いており、これが生態系の回復に寄与するのではないかという「人口減少の恩恵」とも言われていますが、本研究の結果はその考えに疑問を投げかけるものとなりました。

調査の方法と結果



今回の調査では、鳥類、チョウ、ホタル、カエルの卵塊など約450種以上、さらに約3,000種の植物に焦点を当てました。それぞれの生物種の数と個体数の変化を、人口や土地利用の変化と関連付けて解析しました。その結果、人口減少が生物多様性の損失を引き起こす可能性が高いことが示されました。特に、鳥類の数は顕著に減少していることが確認されました。

一方、人口が増加している地域では、鳥類の数が減少し、逆にチョウの数は増加する傾向がみられました。この差異は、地域ごとの土地利用や人為的な開発の影響を示しています。人口が減少しても自動的に生態系が回復するわけではなく、むしろ開発が続くことが生物多様性にマイナスの影響を与えることがあると伝えられました。

生物多様性の保全に向けて



この研究成果は、日本だけでなく、人口減少が進む国々にとっても大きな意味を持ちます。地域の生物多様性を維持するためには、環境との関係を長期的に観察し、そのデータに基づいた積極的な保全策が必要です。特に、日本の里地里山環境における管理の放棄が生物多様性に大きな影響を与えているとの結果も得られています。このため、地域住民が参加しやすい環境保全プロジェクトを進めることが求められます。

今後の展望



日本の研究結果は、東アジア他の国々の生物多様性保全戦略にも貢献する可能性があります。国際連合の目標に沿ったネイチャーポジティブな社会を実現するためには、人口の変動が生物多様性の保護に与える影響を考慮することが必要です。ただ人口減少を待つだけでは不十分で、具体的な行動が求められています。

結論



今後この研究が進展し、 population decrease の影響を受ける他国における生物多様性の保全にも寄与することが期待されます。生物多様性を維持するためには、環境を守るための持続可能な取り組みが必要であるというメッセージを、広く社会に伝えていくことが重要です。


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