はじめに
近年、プロジェクトマネジメントの重要性が高まりつつあります。しかし、同じプロジェクト内にいるにもかかわらず、プロジェクトマネージャー(PM)と実務を担当する現場のメンバー間で「見えている景色」に大きな違いがあることが明らかになっています。この問題を端的に表すのが、フラッグス株式会社が実施した調査です。同社は235名のITプロジェクト経験者を対象に「プロジェクトマネジメントの実態」を調査し、PMに対する認識と現場のメンバーに対する認識の差を明らかにしました。
認識差の実態
調査の結果、プロジェクト情報が「十分に一元管理できている」と回答した参加者は全体のわずか23.4%でした。その中でも、PMとエンジニアではその認識に32.8ポイントもの差が見られます。PMの47.1%が一元管理ができていると評価している一方で、エンジニアは14.3%と大きく低下しています。このような認識の違いは、プロジェクトの進行にどのように影響しているのでしょうか。
認識断層の影響
調査によれば、プロジェクトの属人化を経験したメンバーは77.0%に達しました。この結果は、特定の担当者が情報を抱え込むことで、他のメンバーがその情報にアクセスしづらくなることにつながります。その影響として、プロジェクト全体が把握しづらくなったり、必要な情報を探すのに時間がかかったりする問題が挙げられています。
さらに、情報が散在することで「二度手間」が生じたり、判断の遅れを引き起こしたりすることも調査から明らかになりました。具体的には、情報散在がもたらした問題として、「二度手間が発生した」との回答が42.6%、「進捗や状況が把握できず報告が遅れた」と41.3%に達しました。
PMと現場の認識のズレ
このような実態は、PMと現場との間で認識のズレが存在することを示しています。プロジェクトを推進する役割にあるPMは、情報の管理状況を好意的に評価する傾向にありますが、実際に業務を遂行しているエンジニアやその他のメンバーは、情報の流通や共有状況により不安を感じています。この結果として、「認識断層」が生まれ、プロジェクトの円滑な進行に支障をきたす要因となっています。
プロジェクト炎上のリスク
また、属人化や情報の流通不足はプロジェクトの炎上リスクとも密接に関連しています。調査によれば、炎上を経験した人の中で87.5%が属人化を感じており、炎上経験のない層よりも18.8ポイントの差があります。これは、情報の適切な共有や優先順位の認識が不十分であるため、プロジェクトの進行が困難になることを示唆しています。
これからのプロジェクトマネジメント
フラッグス株式会社の調査を通じて、PMと現場との認識の違いがプロジェクトの成否に対して重大な影響を与えることが確認されました。これからのプロジェクトマネジメントでは、情報の「管理」だけでなく、必要な人に情報が届く仕組みをどう構築するかが重要です。今後の研究や実践において、「認識断層」を解消する手段を模索することが求められます。プロジェクトの成功を実現するための鍵は、PMと現場の情報共有の強化にあるのかもしれません。