つくばヘレナ高等学院が描く、希望を育む新しい教育の形

茨城県つくば市に位置するつくばヘレナ高等学院は、現代の教育課題に新しいアプローチを提案しています。特に、不登校や自殺といった深刻な問題に対して積極的に取り組んでいる同学院は、地域社会との連携を深め、「自分の力で生き抜く力」を育成することに注力しています。

新しい教育の必要性

最近の文部科学省の調査によると、日本では不登校の子供たちが346,482人に達し、これは過去最高の数字です。また、若者の自殺も深刻な問題であり、10～39歳の死因として日本がG7諸国で最も高い数字を記録しています。このような現代社会の中で、若者たちは未来への希望を失いがちです。

さらに、総務省の統計によると、人口減少が続き、地域社会の維持が危ぶまれています。こうした二重の課題に対し、つくばヘレナ高等学院は「学び」と「働く」をつなげることで、教育の再構築を試みています。

プロフェッショナルコースの導入

2026年春に本格的にスタートする予定の「プロフェッショナルコース」では、地域の16社、20職種以上の企業と連携し、実社会での実習を通じて生徒たちの成長を支援します。このコースは単なる職業体験にとどまらず、地域企業との協力を通じて、学生が自身の人生に希望を見いだし、社会の一員として貢献できる力を養います。

具体的には、救急医療、リハビリ、住環境の開発など、様々な分野のプロフェッショナルから学ぶことができ、たとえば不動産管理の実習や東洋医学の体験、さらには研究所での実験サポートなど、多岐にわたります。

資格取得支援も充実しており、宅建士や東洋医学検定、FP3級といった資格が目指せる環境が整っています。特に、少人数制で個別対応を行うことで、不登校や多動特性のある生徒にも対応しています。

自分らしく未来を描く進路観

「プロフェッショナルコース」の本質は、偏差値や学歴に頼らず、社会とのつながりを強調することです。学生たちは在学中から社会との接点を持つことで、自信を深め、地域で生きる力を養います。このような新しい進路観は、単に教育の場にとどまらず、若者と地域が共に未来を創る“共育”の一形態です。

未来に向けての展望

2026年度からのスタートを見据え、2027年度以降にはさらに分野や地域を拡大する予定です。観光、福祉、環境など、地域に密着した多様な事業者との協定を考えており、地元の行政や商工団体との連携も目指します。将来的には、茨城県だけでなく全国の中学生や高校生にとって、地域でプロを目指す選択肢を提供し、地域社会の再構築を進めるための事例発信と教育モデルの普及を目指しています。