植物由来原料を守る挑戦
近年、化粧品や健康食品市場において、植物由来原料の重要性が高まっている。その一方で、製品の品質を左右する「一次加工段階」での課題も浮き彫りになってきた。特に、熱抽出に伴う成分の変質や香気の損失、さらには小ロットの原料を確保する難しさが指摘されている。これらの問題に立ち向かうべく、株式会社日本TOYOは、ベトナムに独自の「体温帯蒸留」拠点を設立した。
体温帯蒸留とは?
本拠点に導入された蒸留設備は、真空度−95kPaという極めて高い真空条件下で、38〜40℃という低温での蒸留を実施する。このプロセスは、一般的な水蒸気蒸留や減圧蒸留が行われる温度(通常60〜100℃)よりも遥かに低い温度帯であり、これによって熱による分解や焦げの発生を抑えることが可能だ。また、原料由来の香気や風味を最大限に保持することもできる。
このような条件での蒸留は、実際の製品とは異なり、研究や商品開発の初期段階で用いる一次抽出素材の製造に特化している。そのため、完成品の大量生産を目的とするのではなく、化粧品や健康食品の新製品開発において重要な役割を果たすことが期待されている。
植物材料の多様性
すでに、ベトナムの拠点では、様々な原料の蒸留が実施されている。グアバの葉やサトウキビ水、ノニの根、ハスの花、高麗人参、グレープフルーツの皮、ドラゴンフルーツ、アボカドといった8種類の植物・果実原料が同じ条件で蒸留され、その全ての特性を活かした一次抽出の実績を有している。これにより、幅広い植物原料に対応可能な体制が整った。
受託蒸留と共同研究の進め方
今後は、国内外の企業や研究機関と連携し、植物原料の受託蒸留サービスが行われる予定だ。「評価用一次素材」としての提供を重視し、小ロットでの試作や評価用サンプルの作成をサポートする。また、官能評価や機能性評価を通じた研究開発需要にも対応し、大学や研究機関との共同研究を促進する方針である。これにより、新しい植物素材や未利用原料の用途探索が進むことが期待されている。
海外拠点の今後の展望
株式会社日本TOYOは、今後さらなる原料開発の拡充と、評価データの蓄積に注力し、化粧品や健康食品分野での共同研究案件の創出を目指している。特に、未利用農産物や副産物の高付加価値化も計画しており、原料開発の「入口」となる海外の一次抽出拠点としての機能強化が図られる。これにより、植物由来原料の品質保持が推進され、業界全体にとっての大きな進展が期待されている。