2025年 参議院選挙に向けた音声読み上げ対応調査
令和7年(2025年)参議院議員選挙に関連する音声読み上げソフト対応版PDFの調査結果が発表されました。この調査は、音声読み上げ技術の普及を促進し、より多くの人々が投票できるよう支援する目的で、アルファサード株式会社が実施しました。
調査内容と目的
調査では、全国の各都道府県選挙管理委員会が提供する選挙公報の音声読み上げソフト対応状況を検証しました。具体的には、音声ファイル(MP3等)が存在するか、候補者や政党のホームページの情報の有無も調査対象として取り上げられました。音声読み上げが可能なデータの整備は、特に視覚障害、知的障害を持つ人々にとって重要な要素です。
特に、選挙情報のオープンさを促す中で、どれだけの候補者が音声読み上げに対応した資料を提供しているかが鍵となります。
調査結果の概要
音声読み上げソフト対応版PDF
調査の結果、音声読み上げソフトに適切なタグ付けや読み上げ順指定を行ったPDFは全候補者の約4%に留まりました。特に、群馬県と鹿児島県では選挙区候補者の音声読み上げPDFが存在しませんでした。音声データの整備においても、全国でわずか7つの選挙区で音声ファイルが提供されている状況が明らかになっています。
これにより、音声読み上げ技術が必ずしも広く浸透していないこと、さらに情報の非対称性が目立つ結果が示されました。
セクター別の情報提供状況
音声読み上げソフト対応のPDFが存在した政党のうち、特に自由民主党と国民民主党は、対応状態が良好でした。この2政党は選挙公報の内容が適切に音声読み上げが可能な形式として提供されています。
また、ウェブサイトのアドレスが記載されていた候補者は310名に上りましたが、PDFファイルが画像化されている場合、情報アクセスの障壁が生ずることも懸念されています。
さらに、PDFデータ作成ソフトのほとんどがAdobe Illustratorであり、この結果も広く利用されているツールの問題点を浮き彫りにしています。
アクセシビリティの重要性
今回の調査結果を受け、音声読み上げ対応やPDFファイルのアクセシビリティに関する課題が明らかになりました。特に、視覚障害者にとって、情報を得ることができるかどうかは、選挙における意思表示の機会に直結します。
PDFファイルの音声読み上げ技術が不十分では、選挙制度自体が障害者に対して閉ざされたものとなってしまいます。これを改善するためには、構造化されたデータ、タグ付け、代替テキストといった配慮が不可欠です。
さらに、音声ファイルの提供だけでなく、プレーンなテキストデータの配布を行うことで、より多様な人々への情報提供が可能になります。
今後の取り組み
アルファサード株式会社では、音声読み上げソフト対応版PDFを広く普及させるため、無償のオンラインアクセシビリティチェックサービス「伝えるPDF」の開発・提供を行っています。また、音声順指定サービスも開始しています。
今回の調査結果を受けて、もっと多くの政党や候補者が音声読み上げに配慮したデータの整備を行うことで、すべての投票者に公平な情報提供が実現されることを期待しています。音声読み上げ対応についての意識を高めることで、選挙がより多くの人々に開かれたものとなることでしょう。期待される結果とともに、今後の進展に注目が集まります。