STマイクロエレクトロニクスが発表した新しいポスト量子暗号技術
STマイクロエレクトロニクス(以下ST)は、量子コンピュータの進化に対応するため、組込みシステム向けのポスト量子暗号ソリューションを発表しました。
ポスト量子暗号とは?
量子コンピュータの台頭により、従来の暗号技術が脅威にさらされています。ポスト量子暗号(PQC)は、量子計算機でも解読が難しい数学的問題に基づいた新しい暗号化方式です。これにより、将来的には安全性が確保され、信頼性の高い通信が可能になります。STが今回発表した技術は、汎用、セキュア、そして車載用のマイクロコントローラに利用される予定です。
STの取り組み・技術の特徴
STは、エキスパートが開発した高耐性のハッシュアルゴリズム「Keccak」を利用しています。このアルゴリズムを基にした暗号化は、量子コンピュータから保護された製品開発を実現します。
さらに、STの新しいソリューションはSTM32を利用した製品開発者が利用できるX-CUBE-PQCソフトウェアライブラリを含み、特にSHA-3アクセラレータを備えた車載用マイコンStellarでも対応可能です。また、セキュアマイコン向けにはソフトウェアライブラリとハードウェアIPも提供されています。この技術はCommon CriteriaやFIPS 140-3といった基準を満たし、実用に適しています。
安全性を高める必要性
量子コンピュータの発展は、特に金融や科学研究、地球観測などの分野において大きな影響を及ぼす可能性があります。STのセキュリティ・プラットフォーム担当ディレクターJacques Fournierは、「量子コンピュータはその計算能力により、多くの業界での利点を生む一方で、既存の暗号技術を脅かす存在でもある」と語ります。これに対抗するため、STは製品ポートフォリオ全体にわたる耐量子機能の組込みを進めています。
展示会での最新情報の共有
STは2025年3月11~13日にニュルンベルクで開催されるEmbedded Worldに参加し、ポスト量子暗号に関する取り組みや新技術を紹介します。特に、3月12日にはJacques Fournierがセッションを行い、来場者はSTの専門家と最新の量子耐性アルゴリズムについて議論することができます。また、STブース(4A-148)では関連デモも展示され、実際に技術に触れることができます。
STマイクロエレクトロニクスとは
STマイクロエレクトロニクスは、世界中に約50,000人の従業員を擁する総合半導体メーカーです。顧客やパートナー企業と連携しながら、持続可能な未来に向けた半導体ソリューションの開発を行っています。スマートモビリティや電力エネルギー管理の効率化に寄与する技術を展開しており、2027年までに再生可能エネルギー使用率を100%にする目標を掲げています。
さらに詳しい情報については、STの公式ウェブサイトをご覧ください。