AIによる研究倫理審査を効率化する『AIRAS』の発表
2024年10月、Borzoi AI株式会社が新たなAI文書審査サービス『AIRAS(AI Review Assistant System)』をリリースしました。これは、大学病院や研究機関の倫理審査業務を大幅に効率化することを目指しています。これまで研究倫理審査は、膨大な文書を目視で確認しなければならず、担当者に大きな負担を強いていましたが、AIRASの導入により、そのプロセスが革新されることになるでしょう。
AIRASの主な機能
AIRASは、大規模言語モデルを活用し、研究計画書やインフォームドコンセントといった重要な文書を自動で検証します。このSaaS型サービスは、審査項目ごとに評価結果をフィードバックし、迅速な審査と一貫性を実現します。具体的な特徴には、以下のようなものがあります。
- - 自動文書検証: AIが提出文書を解析し、倫理審査の各項目(インフォームドコンセントの適正な記載や個人情報保護の対応など)について評価結果を自動生成。
- - 矛盾検知機能: 相互に矛盾する記述をAIが検知し、人間では見つけにくい誤りを指摘します。
- - 直感的なフィードバック: 審査結果と問題点、改善案がわかりやすく提示されます。
- - カスタマイズ可能なチェックリスト: 自分に合ったチェックリストを自由に作成でき、国の倫理指針に基づいた標準リストも利用可能。
- - 使いやすいユーザーインターフェース: Webブラウザ上での簡単な操作が可能で、結果はPDFでのエクスポートも可能です。
- - 柔軟な契約体系: 利用頻度に応じた従量課金で、必要な分だけコストをコントロールできます。
背景と導入効果
最近の研究倫理審査の環境は変化を遂げています。研究に関する提出書類の増加や、担当者のスキル依存が問題視されています。このような中、AIRASを導入することで、次のような効果を期待できます。
- - 工数の大幅削減: 従来数日かかっていた審査を数時間に短縮することで、担当者はより高度な業務に集中できます。
- - ヒューマンエラーの低減: 自動化された矛盾検知機能により、見逃しや判断ミスを防ぎ、確実な品質を実現します。
- - 透明性の強化: 各審査ステップやフィードバックの記録が残ることで、外部監査や委員間の議論にも対応しやすくなります。
以上のような特長を持つAIRASは、研究倫理審査のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速し、大学や病院の業務負荷を軽減しながら審査品質の向上を実現することが期待されています。
今後の展望
AIRASは2025年4月25日から正式に提供を開始します。今後は、多言語対応や審査文書における新たな機能の追加も計画されています。更なる使いやすさと効率性を追求していく予定です。研究機関の方々は、ぜひこの新しい技術の導入をご検討ください。
Borzoi AI株式会社の代表取締役、原宏太氏は、「私たちは技術とイノベーションを通じて社会に貢献することを目指しています。AIRASはまさにその実現に向けた第一歩です」とコメントしています。AIRASが今後、どのように研究倫理審査の風景を変えていくのか、期待が高まります。