住友林業が世界から認められたデザイン力
2025年の「iF DESIGN AWARD」で、住友林業株式会社が初めての栄誉を手にしました。この賞は、ドイツ・ハノーバーで1954年から開催され、世界の優れた工業デザインを評価するものです。住友林業が共同開発した木造オフィス「T3 Collingwood」と内装デザイン「まんなかこどもBASE」がそれぞれ異なる分野で受賞を果たしました。
T3 Collingwoodとは?
まず注目すべきは、豪州メルボルン近郊コリンウッドに位置する木造オフィス「T3 Collingwood」です。
この建物は、地上15階、地下2階からなり、RC造と木造のハイブリッド構造。特に7階から15階までの木造部分は、豪州で最も高い木造オフィスとして位置付けられています。建設には、オーストラリア産のラジアータパインを使用したCLT(クロス・ラミネイテッド・ティンバー)が用いられ、見事な仕上がりを実現しています。
このプロジェクトは、自然光を活かした開放感あふれるデザインが評価され、最高評価の「Gold」を獲得しました。全応募数10,651件の中でGoldを受賞したのはわずか75件、これは応募総数の0.7%という驚くべき数字です。住友林業は、Hines、NTT都市開発、Jackson Clements Burrows Architectsと連携し、この画期的なプロジェクトを実現しました。
まんなかこどもBASEの新提案
もう一つの受賞作品は、「まんなかこどもBASE」です。これは、子育て世代を対象とした住宅向けのリビング空間に設けられた、子ども専用の居場所を指します。
その特徴は、家の中心位置に併設されているため、親がいつでも子どもを見守ることが可能です。周囲よりも一段下げた作りにより、子どもが自分だけの基地のように感じられる空間が生まれ、自立心の芽生えを促進します。このスペースは、子どもの成長に合わせて個室化も可能で、長い目で見た時に様々な用途に助かる設計になっています。
住友林業のビジョン
住友林業グループは、ただ木で作るだけではなく、森林経営から流通、木質バイオマス発電に至るまで広範な事業を展開。2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」では、森林のCO2吸収量の増加、持続可能な木造建築の普及を通じて、社会全体の脱炭素を目指します。
また、ZEH(ゼロエネルギー住宅)やネットゼロカーボンビルの推進を通じて、環境への配慮も欠かしません。
まとめ
「iF DESIGN AWARD 2025」は、住友林業の革新的な取り組みが世界的に認められる一歩となったと言えるでしょう。これからも木を軸とした事業を通じて、持続可能な未来を形作っていくことでしょう。