最近の調査により、若手社会人の就労意識に大きな変化が見られていることが明らかになりました。一般社団法人日本経営協会が2024年に実施した「若手社会人就労意識ギャップ調査」では、700名の正規雇用者を対象に、コロナウイルスの影響が働き方や価値観に与えた影響を探りました。
2024年版の調査結果
調査での入社動機のトップ3は、やりたい仕事ができること、安定感、そして給与・福利厚生の良さでした。しかし、これらの選択肢は前回調査から減少しており、若手社員が重視する価値観に変化が見られます。特に、ワーク・ライフ・バランスを意識する傾向が強まり、自分の能力や専門性を伸ばすことができる環境を求める若手も増えています。
近年、就業意識も大きく変化しています。「定年まで働く」という意識が低下し、次の就職先が見つかってからの就業を希望する若手が増えました。前回調査ではこの項目が1位でしたが、4位にまで下がっています。一方で、ライフイベントに応じた働き方を重視する意識も高まってきており、特に結婚や出産といったライフイベントに合わせてのキャリア設計が求められています。
デジタル化と昇進意欲の変化
調査によると、職場のデジタル化が遅れていると感じている若手社員が多数を占めており、ITリテラシーの向上が求められています。デジタルネイティブ世代である若手社員たちは、身近なデジタル技術に比べ、職場の働き方が遅れていると感じているようです。
昇進意欲に関しても、6割近くの若手社員が「昇進したくない」と回答し、この意識もコロナ前後で増加しています。この結果は、自由な時間やマイペースでの働き方を重視する傾向を示しています。管理職を目指す若手社員はわずか1割にとどまり、責任を負うことに対する抵抗感が強まっているようです。
理想の職場環境
調査結果から、若手社員が望む理想の職場は「人間関係や雰囲気が良い」ことがトップに位置付けられました。上司については、親しみやすさやサポートを求める声が多く、年齢や役職に関係なくオープンなコミュニケーションを重視する傾向が見られます。
また、テレワーク制度の導入が進んでおり、リモートでの柔軟な働き方を求める声が高まっています。実際、調査では「活用したい制度」にテレワークが上位にランクインしています。
私生活重視の傾向
若手社会人が理想と考えるワーク・ライフ・バランスの配分も興味深い結果を示しました。私生活を重視する若手が44.4%に達し、仕事を重視するという約18.4%の割合に大きく差をつけています。これにより、若手が私生活をどのように大切にしているかが浮き彫りになりました。彼らにとって仕事は人生の一部と同時に、私生活も同様に重要な要素であることが理解されます。
自己啓発と今後の見通し
自己啓発の方法については、オンライン学習の人気が急上昇し、特にeラーニングが注目されています。一方で、自己啓発に取り組まない層も増えています。これは企業側での支援が求められる分野で、自分から学ぶ意欲のある若手を育成するための環境整備が今後の課題です。
このように、若手社員の就労意識の変化は、もはや単なる職場環境の改善だけでなく、働き方全般における柔軟性やサポート体制が求められる時代への移行を示しています。調査の結果は、企業が今後取るべき施策に対する重要な指針となることでしょう。
本調査の詳細な内容は、一般社団法人日本経営協会の公式ウェブサイトにて確認できます。