教育現場における生成AI活用実態と影響
スタディポケット株式会社は、全国の小中高等学校における生成AIの活用状況を分析した最新のレポートを発表しました。この調査は、教員と生徒の利用ログを180日間にわたり集めた約500万件のデータに基づいています。調査では、特に教員の生成AIの利用方法に焦点が当てられ、どの教員が、どの教科で、どれほどAIを活用しているのかを定量的に分析しました。
教員による生成AIの利用状況
調査によると、全教員のうち上位5%の教員が約38%のメッセージを生成しており、これは特定の「パワーユーザー」が活用を牽引していることを示しています。このような先行者の存在が学校全体のAI活用を加速させている一方で、校内での活用状況は二極化しています。ある学校では、トップ20%の教員がメッセージの90%以上を生成している一方で、別の学校では多くの教員が日常的に利用しているケースも見られます。
教科別の活用状況
挙げられたデータでは「英語」の活用が特に目立っており、授業での実践を含め様々な場面で利用されています。英語の授業では、翻訳や文法解説のほか、会話文の生成も行われ、生成AIがその特性を最大限に活かしている状態です。
また、他の科目でも生成AIの利用が進んでおり、公民や地理歴史では議論の支援や多角的な視点の提示といった形で活用されています。一方で数学科の活用は相対的に低いことがわかりました。これは、数学の特性上、生成AIとの親和性がまだ確立されていないことの表れと考えられます。
生徒導入校の評価
調査の結果、生徒が導入されている学校では教員の利用度が1.6倍高いことが明らかになりました。教員が生徒と共に生成AIを活用することで、利用が加速するという好循環が確認されています。この傾向から、AI活用のトレーニングに生徒を巻き込むことが教員の利用促進につながるというデータ的な裏付けが得られています。
管理職の重要性
さらに、調査では管理職が生成AIを積極的に利用している学校ほど教員の利用率が高くなる傾向が見られました。具体的には、管理職が利用している学校は一般教員の利用率が約16ポイントも高く、管理職の関与が組織的にAI活用を促進する上での重要な要素であることが明らかになりました。
未来に向けての提言
この調査から得られた知見は、教育現場における生成AIの実効性を示すとともに、今後の教育改革の方向性を考える重要な材料となります。特に、管理職の積極的なAI活用や生徒との共同学習の推進が、教育現場における生成AIの普及を後押しすることが期待されています。
スタディポケットは、これらの情報を基に教育現場における生成AIの透明性の高い活用をさらなる進展を目指していく方針です。調査結果は2025年12月4日に開催予定の「スタディポケットカンファレンス2025冬」で詳細に発表される予定です。ぜひあわせてご注目ください。