CTX-712の試験結果
2022-12-12 15:00:01

新しい抗がん薬CTX-712の臨床試験結果が明らかに、血液がん治療に期待

新しい抗がん薬CTX-712の臨床試験結果が明らかに



2022年の米国血液学会(ASH)年次総会で、Chordia Therapeuticsが新たに開発した抗がん薬CTX-712およびMALT1阻害薬CTX-177の非臨床試験結果が発表されました。これにより、血液がん治療に対する期待が高まっています。

CTX-712の第1相臨床試験



CTX-712は、血液がん患者に対する第1相臨床試験を実施し、急性骨髄性白血病および骨髄異形成症候群の患者を対象としたコホートで重要な結果を得ました。8人の患者のうち4人が完全寛解(CR)、1人が好中球未回復の完全寛解(CRi)を達成し、概念実証(POC)が確認されました。これは、CTX-712の効果が確かなものであることを示しています。

また、薬物動態(PK)解析では、用量に応じた全身曝露量の増加が確認され、設定したRNAのエクソンスキッピングが用量依存的に増加していることから、CTX-712によるmRNAのスプライシング変化も明らかになりました。現在、さらなる第2相臨床試験が進行中で、推奨用量の決定が行われています。

研究者のコメント



この発表を行った東北大学病院の血液内科准教授、横山寿行医師は、以下のようにコメントしています。「新しい作用機序の抗がん薬の第1相臨床試験に携わることができて非常に光栄です。まだ初期段階ですが、血液がん患者様の半数以上に寛解が確認できたことを嬉しく思っています。将来的にCTX-712が進行・再発または難治性の急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群の患者様に有効であることを期待しています。」

CTX-712の特性



CTX-712は、細胞増殖に関わるRNAスプライシングを制御するCLK(CDC2様キナーゼ)の選択的阻害薬です。この薬剤は、さまざまなヒト腫瘍細胞株において増殖抑制効果を示し、異種移植マウスモデルでも抗腫瘍活性を確認しています。さらに、CTX-712に関する国内での臨床試験は、固形がんや血液がんにおける進行・再発、難治性悪性腫瘍の患者を対象に行われています。

新たな治療法の可能性



一方、同様に発表されたMALT1阻害薬CTX-177は、悪性リンパ腫治療への期待が寄せられています。MALT1は、リンパ球の悪性腫瘍において重要な役割を果たし、CTX-177はその活性を阻害することで抗腫瘍効果を期待されています。

新しい治療法としてのCTX-712とCTX-177の進展は、がん患者にとって希望の光となるかもしれません。過去の臨床データを基に、今後一層の研究開発が期待されています。Chordia Therapeuticsは、抗がん薬の開発を続け、革新的な治療法を提供しようとしています。

Chordia Therapeuticsの取り組み



Chordia Therapeutics株式会社は神奈川県に拠点を置くバイオベンチャーで、がん領域の研究と新薬の開発に特化しています。彼らのリードプログラム、CTX-712を含む複数のパイプラインで、がん治療に向けた新たな希望をもたらすべく努力中です。また、2022年には「大学発ベンチャー表彰 2022」で文部科学大臣賞を受賞しており、その実績も注目されています。

これらの進展は、がん治療における新たな道を開くことが期待され、患者にとって一層効果的な選択肢を提供するかもしれません。

会社情報

会社名
Chordia Therapeutics株式会社
住所
神奈川県藤沢市村岡東二丁目26番地の1
電話番号
03-6661-9543

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