日立ハイテクと東京科学大学、PFAS検出の新研究を開始し環境問題に挑む

日立ハイテクと東京科学大学の共同研究

株式会社日立ハイテクが国立大学法人東京科学大学との間で、PFAS（有機フッ素化合物）検出に関する共同研究を始めました。この研究は、日立ハイテク独自のクラウドサービス「ケミカルズ・インフォマティクス」(CI)を利用し、PFASの迅速かつ簡便な検出手法を開発することを目指しています。

PFASの危険性と研究の背景

PFASはその耐熱性や耐水性、耐油性から、日常生活のさまざまな製品に使用されています。しかし、その特性により分解が難しく、廃棄後も環境中に長期間残ることから、水道水の汚染が問題視されています。また、人体にも蓄積されることが多く、将来的な健康被害が懸念されています。特に、PFASが水道水を通じて体内に取り込まれることで健康に悪影響を及ぼす可能性があり、この問題に対処するための検出方法の改善が急務です。

現行のPFAS検出手法には、液体クロマトグラフ質量分析装置が使用されますが、溶媒の抽出や濃縮作業に専門知識が必要であり、1回の分析に数時間かかるのが課題とされています。こうした背景から、日立ハイテクは東京科学大学との連携を通じて、PFASの簡容易な検出方法を模索することにしました。

研究の内容と手法

本研究では、東京科学大学の芹澤武教授と澤田敏樹准教授が進めているペプチドを用いた合成高分子の識別技術を基盤にします。日立ハイテクが提供するCIサービスを活用することで、非常に低濃度のPFASと相互作用する有効なペプチドを効率的に探索します。

このペプチドは、特定の物質と相互作用する機能を持つように設計され、それに基づいてPFASの迅速かつ正確な検出を進めます。また、PFASを除去するためのペプチドの活用についても検証する予定です。これにより、今後ますます増加するPFAS検出のニーズに応えるソリューションの提供を目指します。

今後の展望

日立ハイテクは、社会が抱えるさまざまな課題に対する解決策を提示することに重点を置いており、今回の研究を通じて安全な水道水の提供や人々の健康維持に寄与することを目指しています。東京科学大学との共同研究によって、PFAS関連の課題解決に向けた確かな成果を出すことを期待しており、将来的にはこの研究の商業化を視野に入れています。