2024年、日本の医師が直面する働き方改革の現状
2025年3月31日、ウォルターズ・クルワー・ヘルスより発表された『医師の働き方改革に関する調査』が、医療業界における真実を明らかにしました。この調査は、日本全国の24~69歳の医師200名以上を対象に、2024年12月に実施されました。
調査の背景と目的
日本の医療制度は、長時間労働を前提としたシステムで構築されてきました。しかし、政府は2024年4月に「医師の働き方改革」を施行することで、質の高い医療を維持しながら医師自身のウェルビーイングを確保する計画を打ち出しています。デジタルトランスフォーメーション(DX)による業務効率化や柔軟な勤務体制は、改革を進める大きな要素とされています。
この調査では、現在の医師が直面している働き方改革の進捗や課題、特に業務の効率化と時間外労働の制限の両立について探ることが目的です。
主な調査結果
調査の結果、医師の多くが「医師の働き方改革」施行後6か月が経過しても、労働時間の短縮を実感していないことが明らかになりました。
- - 労働時間に関する感想: 83%の医療機関が改革に関する取り組みを行っているにもかかわらず、自身の働き方に変化を感じている医師は35%にとどまる。
- - 治療方針決定の時間: 治療や研究にかける時間については、7割以上の医師が「減少していない」と回答。
- - 臨床疑問の解決: 30%の医師が毎日3個以上の疑問が生じていると認識しており、9割以上はその疑問のすべてを解決できていない。
このように、病院が改革を進めているにも関わらず、医師は実感する変化が少なく、労働環境のさらなる改善が求められています。
医療情報収集の支援が必要
- - 情報収集に関する意見: 80%以上の医師が、医療者が効率的にエビデンスや情報を収集・活用できるように、施設側の支援が必要であると考えています。臨床上の疑問が未解決であることは、患者の安全に直結する恐れがあります。
DX化の現状と期待
- - DX化の進捗: 調査結果によると、病院の約45%がDX化に取り組んでいるものの、多くの医師はその導入を期待しており、特に労働効率を高めるためのシステム導入が求められています。
医師の声
ウォルターズ・クルワー・ヘルスのクリニカル・エフェクティブネス カントリーマネージャーである藤堂正憲氏は、「医師の高い労働倫理と医療の質を重視する姿勢は変わっていない。今後も現場の声に耳を傾け、より働きやすい環境を提供していく必要がある」と述べています。また、CMOのピーター・ボニス医師は、「効率性と医療の質の両立が持続可能な医療体制の構築に不可欠」と強調しています。
UpToDateの活用
ウォルターズ・クルワーの臨床意思決定支援ソリューションであるUpToDateは、世界中の500万人以上の医療従事者に利用されています。臨床疑問に迅速に答え、最適な治療方針を決定する手助けをしています。これによって、在院日数の短縮や不必要な検査の減少など、多くの医療品質が改善されていることが確認されています。
調査の詳細
この調査は、2024年11月29日から12月2日の間に行われ、全国の医師206名からの回答を得ました。
まとめ
医師の働き方改革に関する調査は、医療業界の現状を反映しており、さらなる改善が求められることを示しています。医師の負担を軽減し、質の高い医療を提供するために、今後の取り組みが注目されています。