2024年冬山シーズンの「ココヘリ」利用動向と安全対策の重要性

2024年冬山シーズンの「ココヘリ」利用動向

山や海での行方不明者を救うための捜索サービス「ココヘリ」を展開するAUTHENTIC JAPAN株式会社は、2024年10月から2025年3月までの通報データを集計し、シーズンレポートを発表しました。この報告では、登山者の安全を確保するための重要な情報や傾向が示されています。

通報件数の傾向

レポートによると、この6ヵ月間に通報された件数は76件に達しました。特筆すべきは、2月に19件と最も多くなったことで、特に冬の登山シーズンにおいては捜索対応の案件が急増する傾向が見られました。これにより、登山者やその家族、友人が行動する前に十分な準備を行うことが、いかに重要であるかが際立っています。

捜索対応の内訳

捜索の置き所を詳細に見てみると、約46％が警察や消防への協力による捜索であったのに対し、42％が通信途絶による不安からくる「ご心配案件」となりました。この結果を受けて、事前に登山計画や下山予定時刻を家族や友人に共有することの意義が強調されています。特に、スマートフォンが圏外になる場所での通信手段を失うリスクは高く、バッテリー切れや故障が通報の原因となる事例も多いため、その対策が求められています。

登山者の年齢層

捜索の対象者は、50代が27％、60代が31％を占めており、これらの年代が全体の58％を占めていることがわかりました。特にこの年代では、体調の変化による行動不能が目立ち、春から夏にかけては熱中症や心疾患といったリスクも増大します。そのため、厳格な体調管理や早めの撤退判断が欠かせなくなります。

通報者の内訳

通報を行った者のうち、本人からの通報が12％にとどまり、88％が配偶者や友人など「本人以外によるもの」でした。この結果から、「本人以外」の通報の多くが、下山予定時刻を過ぎても連絡が取れないことによる不安が原因であることが伺えます。このため、登山者は自らの行動計画をしっかりと家族や友人に伝えておくことが重要です。

探索地域における居住地

探索対象者の居住地を見てみると、多くが都市部に居住しており、山岳県である長野や山梨が捜索の多発地となっています。このことから、他県での登山の際は、具体的な備えがより一層必要となってきます。

現在の登山者へのアドバイス

最近の遭難の傾向では、岩場や雪山での事故以前に体調不良や連絡の不備が増加していることが指摘されています。特に、計画した下山時刻を大幅に過ぎることがあるため、登山者はゆとりを持ったプランを立てることが求められます。悪天候時には予備日を設けたり、十分な水分や食糧を持参することも必要です。加えて、降りられない状況が発生した際に備えた装備の習熟や、携帯電話が通じないエリアを想定した事前の情報共有も極めて重要です。

登山者自身の安全を確保することはもちろん、家族や仲間に不安を与えないための心がけが、今後の安全な登山ライフには不可欠です。冬山シーズンを迎えるにあたり、登山者にはこの知識を再確認し、実行に移すことを強くお勧めします。