分譲マンション業界のIT活用が進まない現状
近年、様々な業界においてデジタル化が進む中、分譲マンション業界は依然としてIT活用が遅れていると言わざるを得ません。総務省が実施した「通信利用動向調査」によれば、スマートフォンやパソコンといったインターネット利用は各年齢層で9割を超えているにもかかわらず、マンション業界のIT導入は低調です。
調査の目的と方法
今回の調査は、マンション業界における電子投票システムの利用実態を明らかにするために実施されました。具体的には、2012年からの電子投票システムでの投票実施件数や利用人数を集計し、分譲マンションの総会におけるIT活用の割合を計算しました。
調査結果によると、マンション総会での電子投票システム実施割合はわずか6.5%、利用人数に関しても9.2%と、他の業界に比べて低い数値が示されました。これは分譲マンション業界のデジタル推進が進行しているとは言い難い状況です。
マンション管理組合のIT活用に対する意識
分譲マンションの管理組合自体は、IT活用に対する意識があることが、一般社団法人マンション管理業協会の調査結果からもわかります。この調査では、およそ6割の組合が「IT総会は必要だと思う」と回答しており、デジタル化のニーズが存在することが窺えます。しかし、実際の導入には至っていないのが現状です。
IT活用が進まない理由
電子投票システム導入のメリットとして、マンション総会の準備にかかる時間を65%削減できるというデータも存在します。しかし、マンション管理会社のフロントマンは、これを積極的に導入する動機を持たない傾向があります。その主な理由としては、以下のポイントが挙げられます。
- - マンション総会のIT活用は、管理会社の担当者(フロントマン)の判断に依存している
- - 時間コストが削減されても、それがフロントマンの評価に繋がらない
- - IT活用が設備の販売につながらない限り、管理会社による導入意欲が高まらない
このように、マンション管理会社と管理組合の間にはIT活用に対する温度差が存在し、業界全体のデジタル化が進まない要因となっています。テレワークの普及により、区分所有者の中にはIT能力が向上した人もいるため、今後のアプローチに期待がかかります。
管理組合の運営スタイルの変化
これまで、我が社ではマンション管理会社向けの広告や宣伝を行ってきましたが、今回の調査結果を受けて、今後はマンション管理組合への直接アプローチに転換する方針です。この方針によって、マンション総会におけるIT活用が加速すると期待しています。これにより、例えば電子投票の導入が管理会社を介さずとも可能となる環境を提供できるようになるでしょう。
まとめ
分譲マンション業界におけるIT活用が他の業界に比べて著しく遅れている理由は明白です。しかし、管理組合の中にはデジタル化への期待が高まっており、今後の展開によっては業界全体の変革が促進される兆しもあります。ITを活用した運営が進むことで、より便利で効率的なマンション管理が実現されることを期待しています。