カンボジアの教育改革に向けた新たな取り組み
2025年8月21日、株式会社すららネットとカンボジア教育・青少年・スポーツ省(MoEYS)は協力覚書を締結しました。このプロジェクトは「EdTechを活用した数学における児童生徒の学業向上と教師の能力向上」を目的としており、2025年2月から2029年12月までの5年間をかけて実施されます。
すららネットは東京都千代田区に本社を置く企業であり、AIを利用した対話式ICT教材の開発に特化しています。カンボジアにおける取り組みは、同国が抱える教育課題、特に数学教育における学力不足と教員の指導力の向上を目指すものです。
プロジェクトのきっかけ
このプロジェクトは、公益財団法人CIESFが設立したCIESF Leaders Academy(CLA)の視察を通じて始まりました。教育大臣のハン・チュオン・ナロン氏がCLAでの「すらら」教材の使用状況を見て、教育省との連携が模索されることになりました。その結果、カンボジアの公立学校においても「Surala Math」のトライアルが実施されました。
2024年12月には経済産業省から「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」が支給されることが決まり、小学生向けのクメール語教材「Surala Math」の開発が始まります。この事業により、教員のICT活用スキルの向上や授業マニュアルの整備が進められる予定です。
技術を通じた学びの革新
本プロジェクトでは、約2万人の児童生徒がICT教材を通じて学び、同時に教員もパソコンを使った授業運営の技術を習得することが期待されています。新たに開発されるクメール語版「Surala Math」は、10月からカンボジアの公立小学校でパイロット授業を行う計画です。これにより、数学の学力向上を目指し、ICT教育の普及を進めていくことになります。
教員育成と教育環境の整備
初年度のパイロット授業で得られたデータを基に、クメール語版「Surala Math」の有効性を確認した後、全国への普及を目指します。カンボジア教育省は2015年から教育改革を進めており、「New Geraneration School」での「Surala Math」の導入はそのひとつです。英語版に続いてクメール語版の普及も進み、5年以内に公立を含む多様な教育機関での利用を目指します。
すららネットの理念と未来
株式会社すららネットの代表取締役である湯野川孝彦氏は、カンボジアにおける教育課題解決に向けた強力な後押しを感じているとコメントしています。彼は、「この協力覚書は単なる教材導入にとどまらない」と強調し、ICTを用いた個別最適化された学びが提供できることの重要性を語りました。
すららネットは今後も日本国内でのノウハウを活かし、カンボジアの教育改革に貢献していきます。これは教育の質を高め、子どもたちの学力を向上させるための重要なステップとなるでしょう。
まとめ
すららネットとカンボジア教育省の協力によるこのプロジェクトは、ICT教育がもたらす新たな可能性を示しています。将来的には、カンボジアの教育モデルを国際水準へ引き上げることを目指し、持続可能な教育環境を構築していくことが求められています。これにより、将来の社会を担う人材が育っていくことが期待されています。