障がい者雇用の現状と企業の課題
はじめに
株式会社Works Human Intelligenceが実施した障がい者雇用に関する実務運用調査の結果、企業が抱える課題が浮き彫りになりました。法定雇用率の引き上げやAI・RPA(業務自動化ツール)の導入が進む中、企業はどのような取り組みをしているのか、またそれに対して何が課題なのかを探ります。
調査背景
調査は2026年4月15日から5月29日まで行われ、76法人80名の人事担当者からの回答を基にしています。法定雇用率が2.7%に引き上げられることや、AIの普及が進むなか、障がい者雇用の拡充にはどのような課題が存在しているのでしょうか。
報告された主な調査結果
1.
職域の確保・拡大に関する課題
約6割の企業が「今後の職域の確保・拡大」に課題を感じています。環境が変化する中で、障がいがある従業員が活躍できる場を確保することが非常に難しくなっているという現状が示されました。
2.
依然として中心業務は定型業務
障がい者が関与する業務としては、「定型業務」が主流で、85.2%が「事務補助」や「データ入力」、さらには「書類スキャン」などに従事しています。母体企業のオフィスでのサポート業務が中心であり、多様な業務展開にはまだ課題があります。
3.
AI・RPAの現状での影響
AIやRPAの進展が障がい者雇用に与える影響については、8割以上の企業が「現時点では影響なし」と回答。つまり、技術革新が進んでも直ちに雇用状況に影響を与えていないことがわかりました。
4.
業務創出が最大の障壁
職域確保において最も多く挙がった課題は「業務の創出」で、特性を活かした業務設計は約1割に留まります。現場の理解や、業務を特性に基づいて割り当てる仕組みが不足しているという構造的な問題が浮き彫りになっています。
5.
企業が求める業務強化
今後、企業が強化したい業務は「清掃・軽作業・物流などの現場業務」や「サポート業務」であり、新たな職域の開拓よりも、まずは既存業務の中で障がい者が活躍できる環境作りを進めていることが理解できます。
職域確保の必要性とその取り組み
この調査結果からは、法定雇用率の引き上げに向けて真剣に取り組んでいる企業も多い一方で、「誰がどの業務で力を発揮できるのか」といった視点がまだ浸透していないことがわかります。業務の割り振りにおいては、本人の特性やスキルを考慮した調整が必要です。
特に興味深いのは、選考時から本人の特性を考慮し、事前に必要な配慮やキャリア志向を確認しながら、業務を設計する企業の取り組みです。インターンシップを通じた事前面談や、個別に配慮事項をまとめ、上司や同僚とすり合わせを行うことで、より人間味溢れた職域設計が進められています。
おわりに
今後、法定雇用率が引き上げることで、障がい者雇用における職域の拡大が求められます。一人ひとりの特性や希望を考慮しながら、力を発揮できる環境を整えていくことが求められています。企業が持つマネジメント志向がそのまま職域設計に活かされることで、多様な人材が活躍できる職場が構築されるでしょう。
今後も、障がい者雇用を通じての価値の拡大を目指していきましょう。