イツリ州の教育危機
2025-05-30 17:04:58

コンゴのイツリ州で教育危機、130万人の子どもが学校に通えず

コンゴ民主共和国のイツリ州では、最近暴力や紛争が激化し、多くの子どもたちが教育の機会を奪われている事態が深刻化しています。国連の児童基金であるユニセフは、130万人以上の子どもが学校に通えず、教育の緊急事態にあると警告しています。

イツリ州では、今年に入ってから290校以上の学校が損傷または完全に壊れ、新たに約13万3千人の子どもたちが授業を受けられなくなりました。この影響で、教育を受けられない子どもたちの総数は130万人を超えることになりました。2025年の初めから4月の間に暴力が激化し、10万人以上が避難を余儀なくされた中、約半数が子どもであるという状況です。

また、イツリ州では過去4か月間で205人が命を落とし、子どもたちへの重大な人権侵害が前年同期比で32%増加し、誘拐や暴行、性暴力が深刻な問題となっています。ユニセフは支援の重要性を語っており、同州では多くの子どもたちの未来が脅かされています。

イツリ州における彼らの支援活動には、武装グループから解放された子どもたちへの支援や再統合プログラムが含まれています。ユニセフは、267人の子どもが地域社会へ戻れるよう支援を行い、その中には130人の女の子も含まれています。このような活動を通じて、メンタルヘルスや心理社会的支援も提供されています。

しかし、こうした取り組みの持続には充分な資金が必要です。ユニセフのアグボル代表は「私たちは全力でこの危機に抗っていますが、資源は不足しています。教育や避難民、就学できない子どもたちには、早期教育や心理支援、基本的な健康サービスが必要です」と語っています。

特に、イツリ州では就学前教育が大きく後れを取っており、幼児期にあたる3歳から5歳までの子どもで早期学習プログラムに参加しているのはわずか4%という現状です。このため、多くの子どもたちは基礎的な成長に必要な環境を欠いています。

さらに、5歳未満の子どもの半数以上が栄養不良に陥っており、危機を一層深刻にしています。2024年には1万8600人以上の深刻な急性栄養不良の子どもが治療を受けましたが、2025年には3万8700人に増加する見込みです。しかし、資金の不足から実際にサービスを提供できている保健区域は全体の3分の1に過ぎません。

コンゴ民主共和国の東部におけるこの危機に対して、ユニセフは5700万ドルの支援を国際社会に対して要請していますが、すでに集まった3560万ドルでは不足がある状況です。

この教育危機を解決し、子どもたちに教育を受けさせるためには、国際社会の協力が不可欠です。最も脆弱な状況にいる子どもたちの未来を守るため、また彼らが健やかに成長できる環境を整えることが急務となっています。

ユニセフとは?


ユニセフ(国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を実現するために活動する国連機関で、190の国と地域で支援活動を行ています。特に困難な状況にある子どもたちへの支援に力を入れています。日本国内では、日本ユニセフ協会がその理念を広げる活動を行っています。


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会社情報

会社名
公益財団法人日本ユニセフ協会
住所
東京都港区高輪4-6-12ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016

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