山梨の企業が国家レベルの賞を受賞!革新的なロボットハンド「KUMADE ECシリーズ」
山梨県甲府市に拠点を置く株式会社ハーモテックが開発した、非接触ウェハ搬送ロボットハンド「KUMADE ECシリーズ」が、2024年9月18日、見事「中小企業庁長官賞(中小・ベンチャー企業賞)」を受賞しました。これは、経済産業省などが主催する権威ある「ロボット大賞」における栄誉ある賞です。85件もの応募の中から選ばれた、その革新的な技術に迫ります。
「KUMADE ECシリーズ」とは?~繊細なウェハを傷つけずに搬送~
「KUMADE ECシリーズ」は、従来の「KUMADE」を改良した、半導体ウェハ搬送用ロボットハンドです。最大の特徴は、ウェハに接触することなく搬送できる点にあります。
独自のVortex Chuck技術を用いて、円筒室内に発生させた高速旋回流の負圧によってウェハを浮上させ、優しく搬送します。まるで竜巻で物を持ち上げるようなイメージです。この非接触方式によって、ウェハへのダメージを最小限に抑え、高クリーン搬送を実現しています。
KUMADE ECシリーズの3つの改良点
従来のKUMADEから、以下の3点を改良することで、さらに高い性能を実現しました。
1.
パッド配置の見直し: ウェハの薄型化に対応するため、パッド(吸引部)をウェハの外周部にのみ配置。
2.
ガイドの配置: パッドと同ピッチにガイドを配置することで、吸引力を維持しつつ、エアの流れを最適化。
3.
吐出エアーの見直し: 吐出エアーをハンド中央部に排気することで、反りや撓みのあるウェハの搬送を可能に。
KUMADEの優れた4つの特徴
「KUMADE ECシリーズ」は、以下の4つの優れた特徴を持っています。
1.
非接触搬送: ウェハに接触しないため、パーティクルの付着を低減し、高クリーン搬送を実現。
2.
低ストレス搬送: ウェハにかかるストレスを大幅に低減(約1/360)。薄型ウェハや反り上がったウェハにも対応可能。
3.
省エネ・薄型化: 従来品と比較して消費流量は約1/7に削減。薄型設計により、ロボットのエンドエフェクターへの搭載も容易。
4.
高矯正力: 独自の自己整合保持機能により、反ったウェハを強力に保持し、安定した搬送を実現。
受賞の背景と今後の展望
今回の受賞は、その革新的な技術と市場への貢献が評価された結果です。特に、パワーデバイス製造分野での高い評価を得ており、大手企業への採用実績も多数あります。
カーボンニュートラルや脱炭素社会の実現に向けた次世代パワー半導体の製造にも貢献し、ランニングコストの低減にも繋がります。さらに、半導体産業以外にも、食品業界などでの応用も期待されており、今後の自動化分野における活躍が期待されています。
株式会社ハーモテックについて
1982年設立の株式会社ハーモテックは、山梨県甲府市を拠点とする半導体搬送機器メーカーです。「小さな世界一(オンリーワン)企業になる。」というビジョンを掲げ、国内外の多くの企業と取引しています。今回の受賞を機に、更なる技術革新と発展が期待されます。