AIと環境の悪影響
2026-06-04 15:36:56

国連大学が示すAIの電力消費がもたらす環境への影響とは

AIの環境負荷に関する新たな報告書



2023年に発表された国連大学の新報告書によると、人工知能(AI)が動作するために消費する電力が、環境に深刻な影響を及ぼすことが明らかになりました。特に2030年までに、世界中のデータセンターの電力消費量は9450億キロワット時に達すると予測され、これはパキスタン、バングラデシュ、ナイジェリアの年間電力消費合計の約3倍に相当します。さらに、その電力使用に伴う水の消費量は、サハラ以南のアフリカに暮らす13億人の年間生活用水量と同等になることが指摘されています。

報告書の内容



この研究は、国連大学水・環境・保健研究所(UNU-INWEH)のリーダーシップのもとで実施されました。報告書は『AIのエネルギー使用に伴う環境コスト:炭素・水・土地のフットプリント』と題され、AIの環境影響を炭素排出量だけに留まらず、水や土地の利用にも着目する必要があると警鐘を鳴らしています。また、エネルギー消費の解析が不十分であることも指摘され、正確な評価がされていない現状を改善すべきだと報告しています。

すでに悪化している状況



現在、多くの評価では、大規模なAIモデルの学習による炭素排出が重視されていますが、実際にはそれだけでは足りないことが明らかになっています。AIは電力だけでなく、冷却システムや発電に必要な水、さらには土地まで、多方面に影響を及ぼしているのです。例えば、石炭からバイオエネルギーに切り替えることで、炭素排出は70%減少する一方で、水の使用面で30倍、土地の使用面では100倍の増加を招く恐れがあります。

データセンターの電力使用



2025年には、データセンターが消費する電力が4480億キロワット時に達するとされています。もしこのデータセンターを一国として扱うなら、実質的には世界第11位の電力消費国となります。この背景には、AIを利用することが経済的に利益をもたらすため、裕福な国々がデータセンターを新たに建設し続けているという理由があります。しかし、その一方で、過剰な電力消費や水資源の圧迫が地域社会に深刻な影響を与えているのです。

推論とトラフィックの増加



AI技術の環境負荷に関する過去の議論は、主にモデルの学習にかかるエネルギーに集中してきました。しかし、実際にはその後の「推論」時にかかるエネルギーの方が、はるかに多くなります。ChatGPTや他の流行しているAIサービスは、日々数十億件の問い合わせに応じ、これにより膨大な電力を消費しています。

新たな環境危機



AIの新たな機能、特に画像や動画を生成する際には、ますます多くのエネルギーを消費することが指摘されています。例えば、動画生成には非常に大きなエネルギーを要し、スパムメールの分類を20万回分に相当する電力が必要であることが示されています。このことは、ユーザー自身が知らないうちに環境への負荷を増やす要因となっています。

持続可能な利用に向けた提案



この報告書は、持続可能なAIの利用を目指し、透明性や設計からの効率化といった6つの原則を提案しています。その中でも、政府はAIインフラの水・土地利用の政策に対して統合する責任があるとされ、自国のAI計算能力の開発を推奨されています。また、個人レベルでも、余分なエネルギー消費を避けるよう心掛けることが求められています。

結論



AI技術の発展は、今後も人々の生活に多大な変化をもたらすことでしょう。しかし、その影響が環境に及ぼす影響を無視することはできません。持続可能な形でAIを利用するためには、個人だけでなく、国単位での取り組みが必要です。報告書には、AIの環境フットプリントを正確に評価し、責任ある利用と持続可能な未来を実現するための具体策が示されており、今後の動向に注目が集まります。


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