2025年冬号『標準化と品質管理』の特集内容
一般財団法人日本規格協会が発行する季刊WEBジャーナル『標準化と品質管理』の2025年冬号が、12月に発行されました。この号では、二つの重要な特集が組まれています。ひとつは「量子標準化インタビュー」。これは、今後の技術革新において重要な位置を占める量子技術に関するもので、特に日本の取り組みや国際的な立ち位置について深く掘り下げています。
特集の中で、産業技術総合研究所の量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センターの副センター長、堀部雅弘氏やIEC/ISO JTC 3 国内委員会の幹事長、谷川一知氏によるインタビューが掲載されています。特に、2025年6月に内閣府知的財産戦略本部が掲げた「新たな国際標準戦略」において、量子技術がどのように位置付けられているのかが詳細に解説されています。量子標準化が欧州や米国、中国でも重点的に進められている中で、日本が果たすべき役割について、多角的な視点から論じられています。
次に特集されているのは「日本の標準化教育 —現状と展望」。現在、日本における標準化教育に対する評価が高まる中、OECD諸国やアジア国家に対する競争力が懸念されています。果たして本当に日本の標準化教育は遅れているのでしょうか?この特集では、日本の現状を見つめ直し、その課題と展望を考察します。
一般財団法人日本規格協会の奥崎一真氏は、国内における標準化関連の大学教育カリキュラムの概観を示し、国際標準化研究教育センターでの取り組みも紹介されています。また、早稲田大学の教授であり、スマート社会技術融合研究機構の事務局長である石井英雄氏、ACROSS機構会長の林泰弘氏も参加し、日本における標準化教育の未来についての見解を述べています。
この号には、開発者インタビューとしてGAINA開発者の石子達次郎氏の言葉も収録されており、技術とビジネスの結びつきについての貴重な視点が得られます。
さらに、大阪大学の宮野紗由美准教授が執筆した「国際標準化と国際政治:研究蓄積と近年の動向」や、日本包装技術協会の井出安彦氏による「EUの包装・包装廃棄物規則について」など、幅広いテーマが扱われています。特に、音楽演奏時の心理的な「上がりやすさ」を評価するための心理尺度に関する研究なども含まれ、標準化と品質管理をテーマにした多様なコンテンツが詰まっています。
専門家だけでなく、一般の読者にも興味深い内容が豊富に盛り込まれており、学びや新たな知識の発見があることでしょう。標準化や品質管理に興味を持つ方々には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
そして、日本規格協会グループでは、会員向けに多様な情報を提供するウェブサイト『JSA Webdesk』を運営しています。新たな会員制度やお役立ち情報を定期的に発信しているため、併せてご利用いただければ幸いです。
標準化や品質管理の重要性が増す現代において、今回の特集は非常にタイムリーなものと言えるでしょう。未来の技術と教育に関する洞察を得るために、『標準化と品質管理』冬号を是非ご覧ください。