発酵由来CO₂を活用した新たな植物栽培の挑戦とは

発酵由来CO₂を活用した新たな植物栽培の挑戦

日本の酒造りの新たな試みとして、白鶴酒造株式会社が「発酵由来CO₂の利活用実証プロジェクト」を始動しました。このプロジェクトは兵庫県が主催する「ひょうごオープンイノベーションマッチング2024」において、スパイスキューブ株式会社との共同事業として展開されます。白鶴酒造は、マイクロブルワリー「HAKUTSURU SAKE CRAFT」で生成される発酵由来のCO₂を利用して、植物の栽培を開始します。

プロジェクトの背景と目的

日本酒製造の過程で発生するCO₂は、本来ならば廃棄されがちな副産物ですが、同社はこのCO₂を植物農業に利用する革新を目指しています。発酵過程によって生まれたCO₂を植物の成長促進に利用し、その植物を日本酒やクラフトジンの材料として活用するという循環型のビジネスモデルを追求しています。

植物を育てる環境の構築

プロジェクトでは、白鶴酒造資料館内のマイクロブルワリーから発酵由来CO₂を集め、それを室内農業装置へ送り込む仕組みが構築されます。この小型農業装置では、バジルやシソ、ミントなどのハーブ類が栽培される予定です。これらの植物は、発酵由来CO₂がもたらす高濃度の環境下で育てられるため、必要な栄養素や水分の効率が向上し、より高品質な原料として酒造りに活かされます。

期待される効果

このプロジェクトの成功により、白鶴酒造はただ酒を造るだけでなく、持続可能な形で生産を行う新たなスタイルを導入することが期待されます。また、農業の面でも都市部での室内農業の限界を打破し、地域の食材を使用して地産地消に貢献することが可能となります。地域環境を維持しながら、酒造りを行うことがサステナブルな社会の実現に寄与するでしょう。

循環型ものづくりの新時代

日本酒の製造は古くから地域経済に根ざした文化であり、今回の取り組みもその流れを受けてのものです。当然、日本酒を製造する過程で発生するコストや廃棄物に対する新たなアプローチが必要とされています。このプロジェクトを通じて、単なるものづくりに終わらせず、一連の流れを循環させることで環境への影響を最小限に抑えることを目指しています。

本プロジェクトの進展により、白鶴酒造が新たな酒造りの形を確立し、持続可能な未来への道筋を作ることが期待されます。これからの動向に注目です。