地球深部の神秘を解明した新研究：マントルの物質のムラを特定

最近、千葉工業大学の町田嗣樹氏を中心とする研究チームが、地球の深部から上昇する「マントルプルーム」に関連する、上部マントルの物質のムラについて重要な発見をしました。従来の推定では、マントルにおける不均質性のスケールは約100 kmとされていましたが、今回の研究で特定されたのは10 km未満という驚くべき結果です。この研究は、地震波観測に基づく通念を覆すもので、地球のマントルがいかに早く混ざり合う構造を持つかを示しています。

この研究の背景には、地球の内部層構造の解明があります。現在の地球は、中心に核を持つ層構造を持ち、約80%を占めるマントルは固体でありながらも、非常に高温で柔らかく、ゆっくりと流動しています。このマントルの動きは、地球の熱エネルギーを内部から外部へ運ぶ役割を果たしており、昨今では「マントルプルーム」という上昇流が特に注目されています。

参加したのは、東京大学の沖野郷子教授と国立科学博物館の研究者たちです。彼らは2015年に実施された研究航海で中央インド洋海嶺から採取した溶岩に基づき、化学組成を詳しく分析しました。溶岩の成分の違いは、かつて地球表面にあったプレートの岩石がリサイクルされ、マントルプルームによって新たに上部マントルへ運ばれたものであることが判明しました。

研究者たちは、マントルプルームが広がる過程を追うことで、上部マントルの不均一性のスケールを特定しました。その結果、10 km未満という値はこれまでの理解を大きく覆し、物質が混ざり合う速度が従来の考えよりも遥かに早いことを示唆しています。これは、マントル内の物質循環のメカニズムを再考するきっかけとなり、今後の地球科学の研究において重要な影響を与える内容となりました。

本研究成果は、地球科学専門誌「LITHOS」に掲載され、国際的に注目されています。この新たな知見は、地球内部の動きを理解する上での指針となり、さらには地震や火山活動など、地表で観察される現象をよりよく理解するための基盤を提供するものです。今後、専門家によるシミュレーションが進めば、地球内部の物質循環の詳細がさらに明らかになると期待されています。地球のダイナミックなシステムを理解するための重要な一歩として、今後の研究が一層待ち望まれます。

このようなマントルの研究は、我々が地球の成り立ちを理解するための鍵を握っています。町田研究員が述べるように、直接見ることのできないマントルの様子を探るためには、高度な技術を用いる必要がありますが、その中で成し遂げた成果は、マントル研究に新たな光をもたらすものとなるでしょう。今回の発見を基に、今後の地球内部研究に期待が高まるばかりです。