再生医療の新時代
2025-07-28 15:55:02

iPS細胞から生まれた新たな再生医療の可能性とは?初の治験情報

iPS細胞を用いた新しい治療技術



再生医療の分野において、iPS細胞(人工多能性幹細胞)は革新をもたらしています。iHeart Japan株式会社が開発したヒトiPS細胞由来心血管系細胞多層体(IHJ-301)は、特に心疾患に対する新しい治療法として注目されています。

2025年5月23日、東京女子医科大学病院で行われた治験では、IHJ-301が患者さんに使用されました。この治験は、拡張型心筋症という重篤な心疾患に対するもので、患者の安全を第一に考え、手術後の経過観察が行われました。治療を受けた患者は無事に退院し、現在も通院での経過観察を受けています。

IHJ-301の仕組みとは?


IHJ-301の革新性は、その成分にあります。細胞は健常ドナーから採取されたiPS細胞を基にしており、心臓や血管の細胞と、ゼラチンハイドロゲル粒子からなるハイブリッド製品です。このゼラチンハイドロゲル粒子は、生着性が向上するため、より高い治療効果が期待されています。

ゼラチンハイドロゲルは、京都大学名誉教授の田畑泰彦先生が開発したもので、再生医療の材料としての適格性が認められています。IHJ-301はこの新しい素材を利用することで、心臓の機能回復を図ることが可能になります。

拡張型心筋症とは?


拡張型心筋症(DCM)は、心筋が弱くなり、心臓が正常に機能しなくなる病気です。日本国内で推定20,000人がこの病を患っており、多くの場合、根本的な治療法が存在しません。心臓移植は選択肢の一つですが、ドナー不足や長い待機期間が課題となっています。

治験の進展


現在行われている治験は、IHJ-301を用いたもので、最初の3例で安全性を確認し、その後7例を追加して合計10例の有効性評価を行います。この治験は特に、心不全の程度を表す指標であるNYHA分類の III に該当する患者を対象としている点が特徴です。特に、ラミンA遺伝子に病的変異がない患者を対象としており、これは他の治験と大きな違いです。

未来への期待


iHeart Japanは、「心臓移植をしなくても良い社会の実現」を掲げ、再生医療の研究開発を続けています。IHJ-301の成功は、心疾患に苦しむ多くの患者に新たな希望をもたらすかもしれません。現在の治療法に革新をもたらすこの技術が、どのように発展し、普及していくのか、今後の動きが注目されます。

会社情報


iHeart Japanは2013年に設立されて以来、医療技術の発展に寄与することを目指しています。日本学術会議からも評価されており、経済産業省からは『J-Startup』に選定されるなど、今後の発展が期待される企業です。治験に関する詳しい情報は、公式ウェブサイトで確認できます。

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会社情報

会社名
iHeart Japan株式会社
住所
京都府京都市左京区吉田下阿達町46京都大学医薬系総合研究棟
電話番号

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