映画やゲーム音響制作の進化を遂げたNuendo 14の全貌

株式会社ヤマハミュージックジャパンが発表した『Nuendo 14』は、映画、テレビ、ゲームの音響制作に特化したデジタルオーディオワークステーション（DAW）の最新バージョンです。これにより、プロの音響エンジニアや制作チームは、効率的かつ高品質な音響制作を実現できます。このソフトウェアのアップデートは、特にAI技術の導入が際立っています。音声をテキストに変換する機能や、ミキシング機能の強化が施されており、制作プロセスの革新が見込まれています。

AIによる音声変換機能の活用

『Nuendo 14』では、AIを用いた音声テキスト変換機能が搭載されています。これにより、各種ダイアログのトラックを自動で認識し、ADR（Additional Dialogue Recording）サイクルマーカーに書き起こすことが可能です。この機能の導入により、従来よりも作業時間を大幅に短縮し、よりスピーディーにプロダクションを進めることができるでしょう。また、多言語対応も強化されているため、国際的なプロジェクトにも柔軟に対応できます。

映像制作に対応した新機能群

さらに、『Nuendo 14』は4Kおよび8K解像度の映像に対応し、Dolby Atmos 9.1.6をサポートしています。この新機能により、次世代の没入型オーディオ制作が大幅に向上します。特に、映画やテレビドラマにおいては、視聴者が感じる臨場感を高めるために、立体音響技術「Ambisonics」が取り入れられています。この技術により、ユーザーはサウンドの方向性を自在に操作できるため、よりリアルな音響体験を提供します。

編集機能の強化

編集操作の効率も大幅に向上しました。新しいツールを利用することで、オーディオ編集時に素早くレベル調整ができるようになります。さらに、柔軟なイベントボリュームカーブを簡単に調整できる機能や、特定の単語やフレーズを自動で検出する機能が強化され、従来の手動処理からの脱却が実現しました。これにより、オーディオ編集が驚くほど効率的になります。

ゲームオーディオ向けの特化機能

『Nuendo 14』は、ゲームオーディオデザインに向けた新機能も多数搭載しています。選択したエフェクトをリアルタイムでプレビューできる「Game Audio Connect 3」が追加され、制作チームはオーディオアセットをエクスポートすることなく、ミドルウェア「Audiokinetic Wwise」から直接効果音を再生できます。この新機能は、音響デザインのクオリティを向上させる働きをします。