美作市の鳥獣対策
2018-03-23 17:35:13
美作市がICTを導入し鳥獣被害対策を強化、捕獲通知システムの運用開始
美作市が鳥獣被害対策にICTを導入
岡山県美作市が、県内の農作物被害対策に革新的な一手を打ち出しました。ICT技術を駆使した捕獲通知システム「オリワナ通信」を導入し、来る4月から運用を開始する予定です。このシステムは、野生鳥獣による農作物被害の軽減を目指す取り組みで、特にシカやイノシシなどによる被害が指摘されています。
全国的な農作物への被害状況
農林水産省の調査によると、全国の約1500の市町村が鳥獣被害に直面し、被害総額は200億円前後に上るとされています。この状況から、鳥獣に関する適切な管理が急務となっていることは明らかです。同省は2023年までに約205万頭にまで生息数を減少させる目標を掲げています。
わな捕獲の現状と課題
美作市内での捕獲実績を見てみると、8割以上がわなを使用しての捕獲です。しかし、猟師たちは毎日見回りを行わなければならず、捕獲後には自己処理や処理施設への搬送が必要になっています。このプロセスは非常に手間がかかり、さらに他のわなでの捕獲が判明することもあるため、一日に何度も搬送作業が求められることもしばしばです。これが猟師たちにとっての大きな負担となっています。
ICT技術による解決策
フォレストシー社が提供する「オリワナ通信」は、通信範囲の広さと省電力性に優れたLPWA無線技術を用いたシステムです。この技術により、山間部など通常の携帯電話の電波が届かない地域でも、リアルタイムでわなの作動状況を監視できます。わなが作動すると、利用者の端末に通知が届くため、迅速な対応が可能となります。
さらに、GPS機能によって作動位置も把握できるので、地域全体で連携しやすくなり、鳥獣行政担当者や捕獲従事者の作業負担が大幅に軽減されます。
実証実験から見えた効果
美作市は2018年3月に「オリワナ通信」の導入を決定し、同年12月に実証実験を実施しました。この実証実験では、捕獲から解体処理に至るまでのプロセスがスムーズになり、良質なジビエの確保が期待できる結果が得られました。このシステムが他の分野にも応用できる可能性があることから、さらなる展開が期待されます。
地域活性化と持続可能な仕組みを目指して
美作市では「オリワナ通信」を導入することで、農作物被害の軽減だけでなく、ジビエの活用にも力を入れていく方針です。猟師と処理施設が共存できる仕組みの構築を進めることで、農業分野への利用も広がることが期待されています。フォレストシー社は、今後も美作市を含む自治体に対して、500件の導入・運用を目指すとしています。
美作市はこの新たな取り組みを通じて、地域における農業と共存する持続可能な方法を模索し、より良質な食材の提供を目指しています。
会社情報
- 会社名
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株式会社フォレストシー
- 住所
- 東京都中央区日本橋2-16-2KDX日本橋216ビル4F
- 電話番号
-
03-3272-1129