ベクター、軽量な組み込みソフトウェア「MICROSAR IO」を発表
2025年3月6日、ドイツ・シュツットガルトにて、ベクターが新しい組み込みソフトウェア「MICROSAR IO」のリリースを発表しました。このソフトウェアは、低コストかつリソースが限られたマイクロコントローラー向けに設計されており、自動車産業におけるSDV(Software-Defined Vehicle)開発を支える重要な要素となります。
MICROSAR IOの特長
軽量でコスト効率の高いベースレイヤー
MICROSAR IOは、センサーやアクチュエターといった小型メカトロニクス用ECU(Electronic Control Unit)に特化しています。設計は自動車メーカーの制約から独立しており、再利用性とコスト効率を重視。特にバッテリー管理や駐車センサーなど、自動車のサブシステムに最適化されています。これにより、車両内で求められる効率性と低リソース消費が実現されています。
シームレスな統合
MICROSAR IOは、複雑な自動車メーカー固有のタスクをコンパニオンECUにオフロードし、車載ネットワークとの統合をスムーズに行うことができます。ハードウェアを抽象化することで、高性能な演算モジュールやゾーンコントローラーなど、上位システムとの統合が容易になります。この機能により、自動車メーカーの「shift-north」戦略もサポートされます。
開発体験の向上
必要なROMは32kバイト、RAMは8kバイトのみで、オペレーティングシステム、通信、ソフトウェア更新機能を含む基本構成が組まれています。また、VS CodeのPlatformIO拡張機能と完全に統合されており、IoTにおける開発体験を統一した環境内で提供しています。これにより、プロジェクトのセットアップ、ビルド、ダウンロードからハードウェアのデバッグまで、一貫して管理できる体制が整い、開発サイクルが圧倒的にスピードアップします。
MICROSAR IOの主要な利点
1.
開発のシンプルさ:使いやすいフレームワークとプロジェクトセットアップの簡素化。
2.
低コストのハードウェア:CAN、LIN、UART、SPIインターフェイスに最適化。
3.
車載ネットワークとの統合:コンパニオン拡張機能により、車載ネットワークへの円滑な接続が可能。
4.
安全性と信頼性:長期的なサポートとメンテナンスにより、ASIL-Dのユースケースにも対応。
Infineonとの共同開発
ベクターは、Infineonとのコラボレーションにより、新しいハードウェア抽象レイヤー(HAL)仕様を開発しました。このHALは、低メモリフットプリントを持つマイクロコントローラーの統合を容易にし、再利用性を高めるために設計されています。HAL仕様は、InfineonのPSOC™4 HVマイクロコントローラーのドライバに実装されており、他の半導体メーカーにも適用可能です。
ベクターについて
ベクター・ジャパン株式会社は、電子システムの開発を行うリーディングカンパニーで、特に自動運転やコネクテッドカーの技術に強みを持っています。世界中に多くの拠点を持ち、多様な業種に対応した知見と技術を提供しています。
自動車開発におけるデファクトスタンダードとして、今後もさらなる技術革新を追求していくことでしょう。
詳細情報に関しては、
ベクターの公式ウェブサイトをご覧ください。