日本自然保護協会(NACS-J)は、生物多様性の保全と自然回復を目指す施策を推進する市町村を「ネイチャーポジティブ認証自治体」として認定しており、最近では群馬県のみなかみ町、福島県の只見町、神奈川県の秦野市がこの認証を取得しました。
この認証制度は、地域における生物多様性の特性や保全上の課題を明確にし、それに対する適切な計画や施策を実施する自治体をNACS-Jが評価するものです。今回の認証は埼玉県所沢市に続くもので、このように新たな自治体が認証を受けることは、生物多様性保護に対する地域の取り組みが増加していることを示しています。
各市町村は、それぞれユニークな方法で生物多様性を保全するための施策を進めています。群馬県のみなかみ町では、自然再生や利根川源流域の水資源保全を目指していることが評価されました。この町では、企業や専門家との連携を強化し、地域の資源管理に自然に根ざした解決策を取り入れています。
福島県の只見町は、地元のブナセンターを中心に自然環境の保護とその活用に取り組んでいます。持続可能な開発のための教育(ESD)を推進し、地域の文化との統合を図る活動が評価され、学術的な支援を通じて地域の交流人口の増加も図っています。
神奈川県秦野市では、30社以上の企業と協定を結び、地下水資源の保全に向けた取り組みを行っています。また、約40の市民団体とも連携し、地域の里山における生物多様性の保全に取り組んでいる点が高く評価されています。
今後、NACS-Jはこれらの自治体と協力し、地域の生物多様性に基づく取組を進めていく方針です。特に、行政だけでなく、企業やNPOと手を組むことにより、全体的な生物多様性の保全に向けたパートナーシップの形成が重要となります。
このような取組を通じて、生物多様性が地域社会の中での価値を高め、持続可能な未来を築くための基盤が整備されていくことが期待されています。各市町村には、2025年4月から5月にかけて授与式が行われ、メディアの取材も可能です。
NACS-Jは、今後もネイチャーポジティブ自治体認証を目指す市町村との協力を進め、生物多様性保全に取り組む企業の参加を広く呼びかけています。地域の自然を守ることが、次世代への大切な贈り物であることを忘れずに、多くの人々が参加していくことが重要です。さらに、認証を取得した自治体は、滋賀県甲賀市、三重県尾鷲市など、多様な地域に広がっています。これらの新たな取組が、地域の活性化だけでなく、環境保護にもつながっていくことを願っています。