AIとHIの統合で形作る新しい人的資本経営の可能性
株式会社日本総合研究所(以下、日本総研)は、2025年12月26日に新書『AI時代の人的資本経営 従業員価値向上のためのこれからの人材戦略』を発刊する。この書籍では、AIがもたらす人材マネジメントの変革について議論され、企業が成長志向の戦略を採用していくための道筋が示されている。
日本経済の現状と人的資本経営の重要性
1990年代初頭から続く経済の低迷を経て、日本経済は新たな成長機会を迎えている。しかし、多くの企業は依然として人員抑制とコスト削減に頼った管理手法を継続している。この状況では、企業が抱える人的資本のままでは将来的な競争に負けてしまう可能性が高い。
そこで重要となるのが、人的資本経営だ。経済産業省によると、これは「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」とされている。つまり、ただ単に人材をコストとして扱うのではなく、いかにその価値を引き出すかが重要なのだ。
但し、現在の日本では労働力人口の減少が続いているため、企業は単なる人材投資だけでなく、従業員にとっても働くことによるリターンを最大限にする、人材マネジメントの変革を求められている。
AIが変える人事の役割
AI(人工知能)の発展により、人事の現場も着実に変化を遂げている。AIを活用することで、業務の効率化が期待できるが、その本質は単なる省力化には留まらない。AIと人間が協力し合い、それぞれの強みを活かす新たな働き方が求められる。
本書では、AIを「Artificial Intelligence」、人間の知性を「HI」と定義し、これらの統合の重要性を強調している。技術の進化が、従来の知識やスキルの価値を相対的に低下させ、むしろそれをどう活かすかが問われるようになってきている。この流れの中で、HIの力を引き出すためには、従業員の自発的な学びや、柔軟な組織構造の確立が欠かせない。
人事部門の役割と未来への方向性
AI時代において、企業の人事部門は、組織と個人の潜在能力をどのように引き出すかが重要な課題だ。この書籍は、従業員価値と企業価値の向上を両立させるための人材マネジメントのあり方についての見解を示し、今後必要とされる人事の役割を明確にしている。
例えば、AIとHIの協働が実現することで、個々の能力が最大限に引き出され、企業全体の生産性が向上することが期待される。また、AIの導入によって人事部門はより戦略的な役割を担うようになると同時に、従業員のエンゲージメントを高める手法の開発にも力を入れる必要がある。
書籍の概要と目次
本書の目次には、人的資本経営の功績と課題、AI進化が変える人的資本経営の前提、人間らしさの再定義、AIとHIの協働によるHRM革新などが含まれており、現代日本における人事の未来を多角的に考察している。
新しい働き方や人事戦略を探求する上で、この書籍は非常に貴重な指針となるだろう。今後の企業成長には、人的資本の最大化が肝要であり、AIとHIの協働がこの課題を解決する鍵となる。
書誌情報
- - 書名: AI時代の人的資本経営 従業員価値向上のためのこれからの人材戦略
- - 著者: 株式会社日本総合研究所ポスト人的資本経営研究会 & 先端技術ラボ
- - 定価: 2,750円(税込)
- - 体裁: A5判・240ページ
- - ISBN: 978-4-8005-9389-4
- - 発行: 株式会社日本能率協会マネジメントセンター
- - 詳細ページ: こちらから
これからの人材戦略を見据える上で、この書籍が提供する知見は、企業経営者、HRプロフェッショナル、さらには従業員一人ひとりにとっても参考になるはずだ。