女性は男性の2.1倍の料理担当 - クックパッドが示す家庭料理の現実
女性の料理負担が男性の2.1倍 - クックパッドの調査から見えた現実
近年、料理を巡る男女の役割分担が再評価されています。特に、クックパッド株式会社が発表した世界135カ国における多国籍調査の結果は、衝撃的なデータを私たちに提供しています。この研究は、女性が男性の2.1倍料理を担当していることを明らかにしました。当記事では、その背景や原因、結論について掘り下げていきます。
調査背景とデータの収集
クックパッドは2018年から米ギャラップ社と共に、64万人を対象とした料理に関する頻度調査を実施してきました。この調査結果は、コロンビア大学やジョンズ・ホプキンズ大学の研究チームにより、国際的な学術誌に発表されました。調査の定義では、「料理」とは過去7日間に自宅で昼食または夕食を調理した頻度を指し、ほとんどの地域で女性が料理を担うことが確認されています。
全体的な調査結果
研究結果によると、女性は料理を担当する割合が214%も高く、これは国を問わず共通して見られる現象です。一方で、家庭での食事を消費する際の男女差は比較的小さく、女性がわずか3%多くなっています。このことから、料理を「作る役割」と「食べる役割」がはっきりと分かれているという実態が浮かび上がってきます。
国別の違いと料理頻度
また、世界の食システムは5段階に分類され、発展途上国の中では新興・多様化型(中国やインドなど)が高い料理頻度を示しました。一方で、産業化や近代化が進む国々(日本や米国など)は、料理の頻度が低く、外食や加工食品の利用が進む傾向が見受けられます。これは、食システムの発展に伴い、家庭での料理よりも外部に依存が高まっていることを示唆しています。
経済格差がどう影響しているのか
社会経済的要因にも焦点が当てられており、調査対象者の37%が「食費が足りない」と回答。この状況は、特に農村地域において高く見受けられ、経済的な制約が料理頻度に直接的な影響を及ぼしていることが分かります。例えば、農村に住む低学歴層やパートタイム労働者は、都市部の高学歴層と比べて高い調理頻度を示しています。
パンデミックの影響とジェンダー格差
調査期間の中でパンデミックが発生し、それに伴い多くの地域で料理頻度が増加しましたが、ジェンダー格差は依然として大きく、2022年には再びパンデミック前の水準に戻りました。このことから、料理の役割分担の変化には根深い問題があることが伺えます。
まとめと今後の課題
本研究では、料理行動の健全な発展に向けて、以下の3つの視点が重要視されています。
1. ジェンダー平等の推進: 料理の役割分担における男女の不平等を是正すること。
2. 包括的な健康支援: 料理頻度を向上させると同時に、健康的な食環境を整備すること。
3. 政策設計の柔軟性: 各国の文化的および経済的背景を考慮した政策を設けること。
この研究は、単なる統計データにとどまらず、「誰が、どのような環境で、どのような食材で料理するのか」という総合的な視点が重要であることを示唆しています。
クックパッドの見解
クックパッドの広報部本部長、小竹貴子氏は、「料理を作ることによって声を上げることが、食に関する重要な議題である」と強調しました。料理はもともと創造的で楽しい営みであるべきです。それが義務ではなく、全ての人にとって喜びであるべきだという考え方の転換が、ジェンダー格差解消の鍵となるのではないかと述べています。
このように、家庭料理は社会全体の問題であり、料理は日常生活の中で選ばれるべき喜びであると考えさせられる研究結果となりました。クックパッドは今後も、料理を楽しむ文化の普及を目指して取り組みを進めていく考えです。
会社情報
- 会社名
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クックパッド株式会社
- 住所
- 東京都目黒区大橋2-22-44
- 電話番号
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