英語学習のための脳科学に基づく単語練習の最適タイミング

英語学習における脳科学の重要性

英語の授業では、学生がコミュニケーション活動を通じて学ぶことが求められていますが、英単語の練習は活動の「前」と「後」、どちらで行うべきでしょうか。この疑問に対して、早稲田大学をはじめとした大学の共同研究チームが脳科学の視点から新たな知見を提供しました。

研究の背景

従来の教育方法では、まず単語を学んでからその単語を使う活動を行うという流れが一般的でした。しかし、単語を覚えるだけではなく、その単語を使った対話中にも脳がどのように働くのか、そしてその働きがどのように学習に影響を与えるのかを、まだ多くの部分で解明されていませんでした。そこで、脳科学を用いて学習のタイミングが脳活動に与える影響を明らかにすることが今研究の目的です。

研究の内容と結果

研究は、80名の日本人英語学習者を対象に行われました。参加者は、対話の前に単語練習を行う「タスク前練習群」と、対話の後に単語練習を行う「タスク後練習群」に分かれて、実際にタスクに取り組みます。

記憶定着のメカニズム

結果として、タスク前練習群は、1週間後のテストでより多くの単語を正確に使用する能力が示されました。これは、事前に単語を練習することが記憶定着に繋がるためです。一方で、タスク後の練習群は対話中に脳の同調度が高く、コミュニケーションにおける理解が深まることが判明しました。この脳の同調は、互いの意図を理解し、効果的にコミュニケーションを図るうえで重要な指標です。

課題解決型の学び

特に注目すべきは、両方式の練習群で脳活動の同調性が高かったペアが、更に学習効果も高かった点です。これは、単語を機械的に反復するのではなく、対話を通じて協力し問題解決に臨むことで生まれる相乗効果とも考えられます。つまり、生徒たちは互いにコミュニケーションを図りながら、自発的に学ぶ環境が必要であるということです。