阪神バス、上限運賃を310円に変更を申請
阪神バス株式会社(本社:兵庫県尼崎市、社長:城島和弘)は、2023年10月に国土交通省近畿運輸局へ一般乗合旅客自動車運送事業における上限運賃変更の認可を申請しました。この申請は、約26年間運賃を据え置いてきた結果、厳しい経営環境に直面したことから行われました。
1. 申請の背景
阪神バスは、1997年1月から運賃を改定せず様々な経営効率化を進めてきましたが、昨今は少子高齢化やモータリゼーションにより利用者が減少しています。また、燃料価格や物価の高騰も影響し、さらにコロナ禍による設備投資の抑制が重なり、経営状況は厳しさを増しています。加えて、運転士不足も深刻な問題となっており、持続的な公共交通サービスの提供に向けて経営改善が急務とされています。
2. 申請内容
本申請の主な内容は以下の通りです。
1.
上限運賃の変更: 全線の運賃上限を310円に引き上げること。
2.
運賃改定率: 平均改定率は29.3%。
3.
実施運賃変更予定: 認可後、実施運賃を250円に改定する計画で、改定時期は2025年夏から秋頃を予定しています。
3. 経営改善への取り組み
阪神バスは過去から運営ダイヤや路線再編を行い、経営効率化を図っています。この中には契約社員制度の導入や、阪神電気鉄道からの分社化などが含まれ、コロナ禍では収益を上げるための施策を続けてきました。また、アフターコロナでは段階的な運賃改定に加え、リアル謎解きゲームなどのイベントへの参加、デジタル乗車券の導入なども行い、経営の立て直しを進めています。
4. 安全対策とサービス向上
安全性においては、ドライブレコーダーやデジタルタコグラフの導入、新システムの搭載などを行い、乗務員の安全運転教育を徹底しています。さらに、交通系ICカードやバスロケーションシステムを導入し、サービスの向上にも努めています。
5. 環境への配慮と地域貢献
阪神バスは電気バスの導入の増加を目指し、環境負荷の低減に貢献しています。また、地域とのつながりを大切にし、小学校訪問や地域資源を利用した施策を展開し、地域振興にも寄与していきます。
このような取り組みを通じて、阪神バスは公共交通機関としての役割を果たし、地域の利便性向上を図っていく方針です。利用者の皆様にはご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。