KADOKAWAグループとSnowflake共催イベントが示す未来のデータ基盤の姿
2024年10月29日、KADOKAWAグループとSnowflakeの共催によるウェビナーイベント「KADOKAWA SNOWCAMP」が開催されました。このウェビナーでは、KADOKAWAグループが導入したSnowflakeによるデータ基盤の構築とその将来展望について、関係者の講演が行われました。講演者には、KADOKAWA ConnectedのChief Data Officer(CDO)塚本圭一郎氏と、KADOKAWAデジタル戦略局のデータマネジメント部で課長を務める本田宗行氏が登壇し、それぞれの視点から独自の知見を共有しました。
データ基盤の将来展望
塚本氏は、「KADOKAWAグループにおけるデータ基盤の将来展望」について語り、2028年3月期を見据えた中期整備計画を明らかにしました。彼は、データ基盤を整えるための「データファブリック型」「インタークラウド型」「コンポーザブル型」「システム統廃合型」の四つの主要なコンセプトを提案しました。
1.
データファブリック型:
これは、データを一つのシステムに集約せず、論理的に統合する方式です。メタデータを一元管理することで、複数のデータソースからのアクセスが容易になります。
2.
インタークラウド型:
AWS、GCP、Azureなど、異なるクラウド環境に対応したデータ基盤の構造です。これにより、さまざまなサービスとの連携が可能となります。
3.
コンポーザブル型:
特定のクラウドサービスやソフトウェアに依存せず、必要な機能を持つサービスを自由に選択・導入できる構成です。これにより、柔軟性が高まり、機能追加や変更が容易になります。
4.
システム統廃合型:
専門技能の学習効率を向上させ、コストの最適化を目指すアプローチです。この整備により、基盤への負担を軽減し計画的に施策を進めることが可能です。
塚本氏は、Snowflakeを導入した理由として、上記のインタークラウド型やコンポーザブル型の特性を挙げ、さらに予算管理が容易となる従量課金モデルも魅力的だと説明しました。国内の多くのIT企業が導入事例を増やしている背景も語りました。
Tableauとの連携
次に本田氏が登壇し、「Snowflake × Tableau」での大規模データ管理について解説しました。KADOKAWAグループでは、数千人のユーザーがTableauを活用し、様々なダッシュボードを作成していますが、5億行を超えるデータの扱いには課題がありました。
本田氏は、これまでの方式からデータ取得方法を改善すると述べました。旧来の方式では、1日1回のクエリでSnowflakeからTableauにデータを転送していましたが、今後はユーザーが直接クエリを投げ、必要なデータのみを取得する新しいアプローチを取ることが決まりました。これにより、データ処理能力が大幅に向上し、大規模データへの対応力が強化されます。
さらに、本田氏は「TableauがSnowflakeと連携することで、データ分析の力を何倍にも高める」と強調しました。
SNOW CAMPとSnowflake紹介
「SNOW CAMP」は、Snowflakeの顧客向けに企画されたイベントで、各社のデータ活用を支援する目的で設計されています。事例講演やワークショップを通じて、Snowflakeの価値や技術を広め、社内のデータ利活用を促進します。
Snowflakeは、シンプルで効率的、かつ信頼性の高いエンタープライズAIの実現を目指しており、世界中の多くの企業に利用されています。データ共有やAIアプリケーションの構築を通じて、ビジネスの強化を図っています。
これからのデータ基盤において、KADOKAWAグループの取り組みは一つのモデルケースとして多くの企業の参考になることでしょう。AI時代を見据えたデータ活用が、今後ますます加速することを期待したいところです。