株式会社東洋経済新報社が発行した2024年4集秋号の会社四季報では、全上場企業の2025年3月期見通しが明らかにされました。特に注目されるのは、全産業を通じた営業利益が9.2%の増加を見込まれている点です。この増加予測には、710社がオーバー・アチーブできると強気な姿勢を示しています。
今回は特に業種別の動向が注目されます。製造業では、住友化学や三井化学など、多くの企業が非常に良い業績を予測しており、業界全体で前期比43.2%の大幅な増益が見込まれています。主に自動車向け製品や半導体関連の需要回復が背景にあるとされています。これにより、化学業界は苦しい時期から脱却しつつあると言えます。
さらには、精密機器業界でもHOYAやオリンパスといった企業が非常に好調で、前期比31.3%の増益が期待されています。円安の影響を受け、海外市場でも売上が増えることが予想されています。電気機器や機械業界もそれぞれ15.2%、11.9%の増益が見込まれ、どちらも二桁の成長が期待されています。
一方で、非製造業の中でも特に情報・通信業界は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進で23.1%の増益が見込まれており、これも今後の成長が期待される部分です。また、インバウンド需要が回復しているサービス業は前期比27.8%の増収が見込まれ、小売業も前期比で12.9%の増益が予想されています。
秋号の四季報では、営業利益が会社の予想を30%以上上回る企業の数が、夏号での60社から110社に増加しました。また、3%以上の増益が見込まれる企業の数も360社から600社に増えています。こうした動向は、景気回復の兆しと捉えられる一方、為替の急変や中国の経済懸念など、不安要因も併存しているため、企業は慎重な業績計画を選択しているという背景があります。
業種別、市場別の業績集計は、今期・来期の予想および実績2期分がある企業によるものです。ただし、決算期変更企業や上場企業の子会社は除外されています。これらの要因は、今後の経済動向や企業の業績に影響を与える重要な要素となるでしょう。