株式会社サイト-ファクトが3億円の資金調達を実施
遺伝子細胞製剤に特化したCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)、株式会社サイト-ファクト(CF社)は、D3バイオヘルスケアファンド1号投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資及び金融機関からの融資により、合計3億円の資金調達を行ったことを発表しました。
基本情報
- - 会社名: 株式会社サイト-ファクト
- - 所在地: 兵庫県神戸市中央区
- - 代表者: 川真田 伸
- - 設立: 2022年10月18日
この資金調達の目的は、CF社のCMO・CDMO事業の国内外での拡大や、ウイルスベクター事業への参入をはじめ、次世代型製造管理デジタルトランスフォーメーション(DX)を可能にする統合製造管理システムの開発及び販売促進です。
システム構築と事業拡大
遺伝子細胞製剤の製造業界では、デジタル化が遅れており、多くのプロセスが手作業で行われています。この状況を改善するためにCF社は、ERPやMES、LIMSなどの機能を統合したクラウド型DXシステムを開発中です。このシステムは、製造過程の記録を電子化し、品質保証プロセスを見える化することにより、大幅なコスト削減にも寄与します。
また、国際的なGMP基準に基づく遺伝子細胞製剤の製造事業を展開しており、特にがん治療向けのCAR-T製剤に注力しています。今後5~10年で、この分野の需要が高まることが予想されています。
株式会社サイト-ファクトの背景
CF社は、1995年の阪神淡路大震災を契機に進められた「神戸医療産業都市構想」の中核組織として、遺伝子細胞製剤に関する研究を推進してきました。特に、Novartis社のCAR-T製剤「キムリア®」の市販品製造においては、95%の製造成功率を達成しています。これによりCF社は日本国内における遺伝子細胞製剤のトップランナーとされています。
競争力向上と未来の展望
CF社は、国内外での製造委託のさらなる拡充を目指しており、特にウイルスベクターやAAVの製造においては日本国内での需要が高まっています。この事業ポートフォリオの拡充により、CF社は遺伝子細胞治療における統合的なCDMOとしての地位を確立し、販売承認の獲得に向けた準備を進めています。
代表取締役の川真田氏は、国内の医薬品供給の基盤を強化するために、遺伝子製剤の原材料製造にも着手する意向を示しています。これにより、国内の医療産業の自給自足を実現し、国際的な競争力を高める狙いがあります。
社会的意義
このような取り組みは、政府が進めるスタートアップ推進の一環としても位置づけられており、次世代のバイオ医薬品を日本から世界へと届ける重要な役割を担っています。CF社の成功は、他のスタートアップ企業にも刺激を与え、全体の産業基盤を強化するでしょう。
私たちは、遺伝子細胞製剤の製造におけるCF社の今後の飛躍に期待しています。