電通総研が発表したSAPユーザー意識調査結果2025年度版
2025年12月17日、株式会社電通総研は国内295社を対象にした「SAPユーザー意識調査結果2025年度版」を発表しました。この調査は毎年実施されているもので、SAP社製のERPシステムを導入している企業の動向や意識の変化に関する重要なデータを提供します。昨年度に続き、2023年から2025年の3年間にわたる時系列分析も行われており、経年変化が可視化されています。
調査の概要
調査は2025年9月9日から10月31日にかけて行われ、約1,300社を対象に、電話によるヒアリングやWebアンケートでデータを収集しました。最終的に295社からの有効回答が得られ、その内訳は「SAP ERP Central Component(ECC)6.0」ユーザー165社、「SAP S/4HANA」ユーザー130社となっています。これにより、SAP製品に対する理解や意識の変化を評価することができます。
SAP S/4HANAの利用状況
調査結果によれば、「SAP S/4HANA」利用の企業比率は前年比で5.7ポイント増加しました。2023年から2025年にかけての累計では、16.6ポイントの増加が確認されており、ユーザーの関心が高まっていることが示されています。特に、新規導入やアップグレードの方法としては、コンバージョン方式の選択が目立ちます。
クラウド型ERPの需要
また、SAP ECC6.0ユーザーが移行後に想定するライセンス形態に関する調査結果では、クラウド型ERPを希望する企業の割合が前年と比べて4.3ポイント増加しました。さらに、現在「SAP S/4HANA」を利用している企業でも、クラウド型ERPの利用割合が16ポイント増加と、今後の動向が伺えます。
移行費用の増加
移行費用に関しても興味深い結果が得られました。SAP S/4HANAに移行する際の費用について、全体の半数以上が「5億円以上」と回答しており、特に「10億円以上」とする企業が多いことが目立ちます。これにより企業のIT投資が高まる中で、費用対効果をどう考えるかが今後の課題となりそうです。
AI活用の重要性
さらに、調査で明らかになったのは、SAP ECC6.0およびSAP S/4HANAの両方のユーザーが今後最も関心を寄せているテーマが「AI活用」であるということです。この結果は、企業がAI技術の導入を進め、自社のデータ分析能力を向上させる動きが今後も続くことを示唆しています。特に、システムの運用効率化に対する関心が高まっており、テスト自動化の需要も増加しています。
今後の展望
電通総研は1995年からSAP関連ソリューションの提供を始め、これまでに350以上のSAPプロジェクトに携わってきました。今後も、企業の課題解決に向けた技術支援を進めていく方針です。2025年度版の「SAPユーザー意識調査結果」は、企業がどのようにSAP製品を活用し、テクノロジーを駆使して成長していくのかを探る重要なデータとなるでしょう。
詳細データは公式ウェブサイトからダウンロード可能です。興味のある方はぜひアクセスしてみてください。