子どもたちが語るメディアの影響
近年、デジタル環境の進化により、子どもたちがメディアから受ける影響が顕著になっています。一般社団法人EverybeingとNPO法人PIECESの共同プロジェクトでは、子どもたちがどのようにメディアを捉え、どんな影響を受けているかを調査するために、インタビューを実施しました。この調査の狙いは、子どものメディア利用実態を把握し、彼らの権利とウェルビーイング視点からメディアのあり方を見直すことです。
調査の概要
対象は小学校2年生から高校3年生までの65人で、対面またはオンラインでインタビューを行いました。質問内容は、メディアに対する認識、利用方法、影響、そしてメディアへの要望についてです。この調査を通じて、子どもたちのリアルな声を集め、彼らがどのようなメディアに触れ、どのような影響を受けているのかを明らかにしました。
調査結果のハイライト
調査から浮かび上がったのは、子どもたちが主にデジタル環境にアクセスしているということです。彼らはメディアの選択基準として、媒体の種類よりもコンテンツの内容を重視している傾向があります。また、SNSや広告、テレビなどのメディアに触れることで、受ける影響は様々です。特に、誹謗中傷や社会的対立を扱った内容に晒されることで、気分が影響されるケースも多いことが分かりました。
さらに、子どもたちが憧れる「推し」の存在が、彼らの日常生活や価値観に大きな影響を及ぼしていることも指摘されています。「推し」に関連した情報が彼らの行動や選択に無意識に影響を与え、気づかないうちにメディアとの接点を持っていることが明らかになりました。
メディアへの期待
子どもたちの声には、メディアが「情報の正確性」を重視し、偏見や誹謗中傷の排除が求められています。また、固定化された人々だけでなく、多様な価値観や背景を持つ人々の声が表に出ることが望まれています。これは、彼らが自分自身を見つめるための大切な要素となるでしょう。
今後の展望
今回の調査は、子どもたちの声を反映させるための第一歩に過ぎません。低年齢の子どもたちの意見はまだまだ聴けていないため、2025年度にはより多くの子どもたちを対象にした大規模な調査を計画しています。この調査を通じて、子どもの権利に基づいたメディアのあり方を探る事例を作成し、特にメディア関連の関係者との対話を深めていく方針です。最終的には、子どもたちの権利を尊重した情報発信のためのガイドラインを策定し、子どものウェルビーイングを考慮したメディア環境の改善を目指します。
実施団体について
一般社団法人Everybeing
Everybeingは、「すべての存在の尊厳がともに存在しあう社会」を目指す団体です。主に、子どもの権利とウェルビーイングを追求する活動に力を入れています。
NPO法人PIECES
PIECESは、地域に根ざした子どもの見守り活動を通じ、孤立を減らし、信頼できる人間関係を築くことを目指しています。孤立する前に子どもたちを支える市民性を育むことが目標です。
この調査を通じて、私たちの社会が子どもたちの未来をどのように作るか、改めて考えていく機会になることを期待しています。