フューチャー、機械翻訳コンペティションで世界トップレベルの成果
AI開発で知られるフューチャー株式会社が、機械翻訳の国際コンペティションWMT24で、高い評価を獲得しました。日中翻訳においては世界一位、英日翻訳においては世界二位という輝かしい結果です。WMTは、機械翻訳研究を専門とする国際会議が主催する、この分野で最も権威あるコンペティションとして知られています。
今回の快挙は、フューチャーが独自開発した大規模言語モデル(LLM)によるものです。Team-Jと名付けられた開発チームは、データ生成技術を駆使し、日中翻訳と英日翻訳に特化したLLMを開発しました。このLLMは、長文の理解と生成に優れており、文章全体の整合性を保った高精度な翻訳を実現しています。従来の機械翻訳では難しかった、意味が通る自然な翻訳文の生成が可能になった点が大きな成果と言えるでしょう。
独自の大規模言語モデル(LLM)の開発
Team-Jは、東北大学、奈良先端科学技術大学院大学といった日本のトップレベルの研究機関の研究者とフューチャー社のエンジニアから構成されています。彼らが共同開発したLLMは、膨大なデータと高度なアルゴリズムによって、高い翻訳精度を実現しました。このLLMは、単なる単語やフレーズの翻訳にとどまらず、文脈を理解した上で最適な翻訳を選択することで、より自然で正確な翻訳を可能にしています。
国際会議での発表
フューチャー社のAI専門研究者は、2024年11月15~16日にフロリダ州マイアミで開催されるNINTH CONFERENCE ON MACHINE TRANSLATION (WMT24)において、この成果を発表する予定です。この発表は、世界中のAI研究者にとって大きな注目を集めることでしょう。
今後の展望
フューチャーは、今回の成果を足掛かりに、更なるLLMの研究開発を進めていくと発表しています。機械翻訳技術の向上だけでなく、経済産業省やNEDOが推進する「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」プロジェクトにも参加し、日本語とソフトウェア開発に強いLLMの開発にも取り組んでいます。企業における業務適用を見据えた特化型LLMの開発にも力を入れており、AI技術のビジネス活用にも注力しています。
さらに、LLMを活用したコンサルティングサービスも提供しており、企業におけるAIチャット環境の導入、社員教育、企業独自のデータに対するRAG活用、LLMファーストの業務適用の検討から実施まで、幅広い支援を行っています。
フューチャーは、先端的なAI技術の研究開発と、顧客課題解決に繋がる実践的なコンサルティングサービスを提供することで、顧客のビジネス価値向上に貢献し続けています。今回のWMT24での成功は、その取り組みの成果を示す大きな事例と言えるでしょう。
Team-J メンバー
論文著者順にメンバーは以下の通りです。
工藤 慧音(東北大学)
出口 祥之(奈良先端科学技術大学院大学)
森下 睦(フューチャー株式会社 チーフリサーチエンジニア/ 東北大学 学術研究員)
藤井 諒(フューチャー株式会社 シニアNLPエンジニア)
伊藤 拓海(東北大学)
尾崎 慎太郎(奈良先端科学技術大学院大学)
夏見 昂樹(奈良先端科学技術大学院大学)
佐藤 魁(東北大学)
矢野 一樹(東北大学)
高橋 良允(東北大学)
木村 昴(東北大学)
原 知正(東北大学)
坂井 優介(奈良先端科学技術大学院大学)
鈴木 潤(東北大学 言語AI研究センター 教授)
これらの研究者とエンジニアの連携によって、世界をリードするAI技術が実現しました。