環境保全の新しい形、ネイチャーポジティブ
近年、環境問題がますます深刻化する中で、従来の「環境を守る」だけでは不十分という認識が広がりつつあります。そこで注目されているのが「ネイチャーポジティブ」という考え方です。この革新的なアプローチは、単純に環境破壊を防ぐのではなく、むしろ自然環境を回復し、持続可能な状態へと転換することを目指します。
2022年の国連生物多様性条約締約国会議(COP15)で登場したこの概念は、2030年までの達成を目指す国際的な目標として位置付けられています。私たちが取り組むべき課題は、企業、政府、そして個々人が経済活動や生活を通じて自然環境を再生させることです。
黒部川流域ネイチャーポジティブ・プロジェクトの概要
八千代エンジニヤリング株式会社が支援を行う「黒部川流域ネイチャーポジティブ・プロジェクト」は、富山県黒部川の流域全体を対象に持続可能な地域づくりを促進するものです。このプロジェクトは、2025年4月の発足が予定されており、地方自治体、企業、研究機関、NGO、地域住民など多様なステークホルダーが連携して取り組むことを目指しています。
現在、このプロジェクトは環境省が推進する「令和7年度ネイチャーポジティブ地域づくり支援モデル事業」に採択されています。このことにより、黒部川流域の自然資本の評価・保全・再生などの具体的なアクションが期待されています。
- - ランドスケープアプローチ: 流域全体の自然資本を評価し、持続可能な方法で保護・再生することが求められています。
- - 生態系調査: 環境DNAを使用した最新の科学技術で、生態系を詳細に調べます。
- - 地域資源の活用: 地元の文化や資源を生かした持続可能な地域づくりを進めます。
- - 環境経営支援: ネイチャーポジティブ経営やTNFD開示といった新しいビジネスモデルに対応するための支援も行います。
このプロジェクトは、地域経済の振興と暮らしの質を高めることを目指しており、「自然と共に繁栄する未来」というビジョンを掲げています。
Eコラボレーションの重要性
藤田香副拠点長(東北大学)は、黒部川流域は自然の恵みを受けながら生活している多くのステークホルダーがいるため、ネイチャーポジティブを実現するための適切な基盤があると述べています。観測技術や解析技術の進展に期待を寄せている声もあり、地域全体で取り組む価値が明確です。
また、八千代エンジニヤリングの吉田広人マネージャーは、企業が地域づくりにおいて果たす役割が今後さらに重要になると強調し、地域の皆様と共に持続可能な未来を目指す意欲を示しています。
サステナビリティへの取り組み
このプロジェクトを通じて、八千代エンジニヤリングは自然環境分野での専門性を活かし、地域社会が共に持続可能に発展する仕組みを作ることを目指しています。サステナビリティNaviを通じて、企業のサステナビリティ問題の解決策をまとめて提供するサービスも展開しており、調査・評価、方針策定、情報開示など多面的な支援を行っています。
まとめ
「黒部川流域ネイチャーポジティブ・プロジェクト」は、多様なステークホルダーが協力し、自然資本の評価と持続可能な地域づくりを進める先駆的な取り組みです。このプロジェクトの成功は、未来の持続可能な社会を築くための重要な一歩になるでしょう。