NECとMITが共同で慢性ストレスを定量化する新技術を開発
NECとMITが共同研究
日本電気株式会社(NEC)が、マサチューセッツ工科大学(MIT)との共同研究を通じて、慢性ストレスを客観的かつ定量的に評価する新たな技術を検証することが発表されました。この取り組みは、2023年9月から2025年8月までの期間で進められ、約25万時間に及ぶ実社会のデータを活用しています。
メンタルヘルスの重要性
近年、メンタルヘルスの維持は企業活動において重要な課題とされています。欠勤や休職、さらには体調不良を抱えたまま働く「プレゼンティーズム」と呼ばれる現象は、企業に大きな影響を与えています。これらの現象を引き起こす一因とされる慢性ストレスは、しばしば本人にも周囲にも気づかれにくいものです。そのため、従来のアンケート調査だけでは、ストレスの状況を持続的に把握することは非常に困難でした。
研究の背景と目的
NECとMITは、この課題に対処するため、手首に装着するセンサーを用いた技術の開発に着手しました。このセンサーは、心拍数や発汗量などのデータを日常生活の中で無理なく収集することができます。特に、この研究では、皮膚電気活動(EDA)を測定し、交感神経の高まりに伴う発汗反応を捕捉することに注力しています。
検証プロセス
今回の検証では、手首装着センサーを利用して、交感神経の反応に伴う発汗を連続的に計測しました。さらに、月に1回実施される自己報告式の慢性ストレス尺度調査(PSS-10)と取得したEDAデータを統計モデルで関連付けて解析しました。調査対象は、日本企業の381名の従業員で、収集したデータは合計約248,000時間、そのうち141,000時間は就業時間帯のものでした。
得られた知見
1. 慢性ストレスの検出可能性
研究によって、数日から数週間にわたって発汗反応が強くなると、自己申告の慢性ストレスが高まる傾向があることが確認されました。このことは、交感神経活動の持続的な高まりが慢性ストレスに関連しているという生理学的な知見が示されています。
2. ストレス期の推定
発汗の一日の変動に着目することで、高ストレス期と低ストレス期を区別する新たな発見がありました。特に、高ストレス期においては、発汗反応が常に高い水準であることが多く、従来のアンケートに依存せずに客観的に慢性ストレスを評価できる可能性が示唆されています。
今後の展望
これらの成果は、プレゼンティーズムの早期兆候を捉え、適切な介入のタイミングを見極めるための客観的な指標として機能すると考えられています。また、個人のセルフケアの促進や、企業の健康経営の高度化へとつながるでしょう。この研究結果は、2024年1月27日に、大阪で開催される「Media Lab Immersion Program」で発表される予定です。NECとMITは、今後もこの研究を進め、働く人々のメンタルヘルスを支援する技術の実装を推進していく方針です。
会社情報
- 会社名
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日本電気株式会社
- 住所
- 東京都港区芝5丁目7-1
- 電話番号
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