HARIOの挑戦
HARIO株式会社は、1921年に創業以来、耐熱ガラスの製造を手掛けてきた伝統ある企業です。東京都中央区に本社を構え、理化学製品やコーヒー・ティー関連アイテム、キッチン用品の企画から販売までを行っています。かつては日本国内に8社の耐熱ガラスメーカーが存在したものの、現在自社工場による生産を続けているのはHARIOだけとなっています。この状況に対して同社はさらなる技術革新を目指し、伝統と若手職人の融合を促進する取り組みを始めています。
モノづくりの見直し
昨今、世界的な市場ではコスト削減のため海外生産に依存する企業が増加しています。しかし、HARIOはあえてその流れに逆行し、国内でのモノづくりに回帰する道を選びました。これは単なるコスト問題だけでなく、職人技の継承や日本の高品質基準にこだわる姿勢の表れでもあります。実際、HARIOの古河工場では、マシン生産をベースにしつつも、手吹きガラス技術による加工を行っています。特に、80代の技術者と若手のチームが協力して、マシンでは表現できない独特のサイズや形状を手作りで生み出しています。
若手職人の成長
今後のモノづくりには、次世代を担う若手職人の育成が不可欠です。HARIOでは、20代から30代の若手職人が中心となり、加工技術の継承に取り組んでいます。彼らは日々の作業を通じて技術の向上を目指し、図面に基づく形状の加工を繰り返すことで、自らの技能を磨いています。この取り組みは、若手が職人の技術を直に学ぶ貴重な機会を提供しており、同時に製品化に至るまでの技術と生産性の向上を目指します。
環境への配慮
HARIOの工場は「煙突のない工場」としても知られており、環境に配慮した製造プロセスを実践しています。耐熱ガラスを製造するにあたっては、徹底した環境対策を講じているため、持続可能なモノづくりを実現しています。これにより、環境問題に敏感な現代の市場でも競争力を維持しています。
最後に
職人技の復活に挑むHARIO株式会社の取り組みは、日本のモノづくり文化の再生を目指す重要な一歩です。HARIOが再評価する職人の技術と品質へのこだわりは、今後の日本の製造業全体に影響を与える可能性を秘めています。若手が面と向かって技術を磨くことによって、HARIOの製品はさらに進化し続け、次世代へと受け継がれていくでしょう。